10年秋以来の優勝を狙う南東北の石巻専修大(宮城)に剛腕が現れた。右横手から最速146キロの直球を投げ込む松沢寛人投手(糸魚川)は既に先発で3勝(1敗)を挙げ、7勝1敗で首位を走るチームに貢献している。

 真横から繰り出される剛球がうなりをあげる。松沢の直球はシュート回転する時もあれば、逆方向にも曲がり、そして時折沈む。「球をリリースする瞬間まで、自分もどっちに曲がるか分からない」荒れ球が、最大の武器だ。先発2戦目となった4月16日の東北公益文科大(山形)戦では強気に腕を振って、9回3安打15奪三振で初完封勝利(1-0)を挙げた。「サイドだからといって、技巧派である必要は全くない。相手にびびって球速を落とすようでは、持ち味が出ない」と力説する。

 右肩がうまく上がらなかったため、高1夏に上手から横手に転向。高3には120キロから最速142キロまで上昇したが、昨夏の新潟大会は4回戦敗退に終わり「大学で野球を続けるか迷っていた」。そんな松沢の剛球にほれたのが、視察に訪れていた新潟・日本文理高出身の酒井健志監督(39)だった。「あんな強い球を投げる投手はなかなかいない」とラブコールを受け、日本海の糸魚川から太平洋の石巻にやってきた。

 4週連続で先発を任され、現在3勝。エース右腕・菅野一樹(2年=聖和学園)とともに2枚看板を形成し、目下首位をキープする。6、7日の福島大戦に連勝すれば13季ぶり6度目の優勝が決まる。1年春から活躍し、最速150キロ到達やプロ入りなど夢は広がるが「今は優勝しか考えていない。1戦1戦勝っていかないと」。松沢の直球はぶれても、目標はぶれない。

<南東北大学・その他の新人選手>

 東北公益文科大・新山寛「先輩の勝利のために貢献して、兄と優勝したい」(3年に在学中の兄悠太を追って入学。最速144キロの直球を武器に既に2勝)。

 東日本国際大・斎田「先輩たちを見てプロのレベルが分かった。大学初のプロを狙う」(開幕から全7戦に出場。仙台育英ではロッテ・平沢の1学年後輩)。