ロッテ鈴木は右手を突き上げ、雄たけびを上げながら生還した。「つなぐ気持ちだけ。後は覚えてません。めっちゃ興奮しました」。1-2の8回2死一塁。楽天岸のスライダーを引っ張り、ライナーで右翼席へ運ぶ逆転5号2ラン。敗色濃厚の空気を振り払った。4月11~13日のオリックス戦以来、11カードぶりの勝ち越しをもたらした。

 早くも5月半ばに自力優勝が消え、借金は増えるばかり。キャプテンを務めるだけでなく、時に4番も任された。それでも「背負っているとかはなかった」。とにかく、先頭で声を出すことを心掛けた。伊東監督の言葉が後押しになった。敵地で敗れた11日の楽天戦後。ミーティングで「野球選手であるのは幸せなこと。しかも、お前たちは1軍でやれている。喜びを感じながら野球をやらないといけない」と言われた。負けが込み、忘れがちだった。「ファンも一緒に戦ってくれている。結果を残す中で、元気を出したい」と気を引き締めた。

 久しぶりに勝ち越したが、借金は19もある。だから「まずは目の前。ソフトバンクに、なめられちゃいけない」と強調した。首位に勝った。次は、開幕カードで3つ負けた2位チームが相手。やり返す。【古川真弥】