楽天が、野村克也監督(73)に来季の続投を要請する方針であることが14日、分かった。先週、東京・品川の楽天本社で取締役会が行われ、監督人事も諮られたもの。まだ、フロントは正式な続投要請を行っていないため、最終決定には至っていないが、現時点では野村監督に引き続き球団の強化を託す方針だ。野村監督は、15日の日本ハム戦(東京ドーム)で、通算3000試合目の指揮となる。選手、監督ともに3000試合出場は日米通じて初。前人未到の金字塔を引っ提げて、来季もボヤキ節は全開だ。

 今季で3年契約が満了する野村監督に、球団は来季も引き続き指揮を執るように要請することが確実となった。先週開かれた取締役会では監督人事問題も議題に上った。関係者によると、同監督の続投は既定路線であり、球団としては来季も契約することを要請する見込みという。

 交流戦終了の時点で、島田オーナーは「監督人事については、しかるべき時に私から(マスコミに)お話ししますので、『ノーコメント』でお願いします」と多くを語らなかった。ただし、「ノーコメントといっても、ネガティブな意味ではないですよ」と付け加え、続投が既定路線であることを示唆。シーズン中ということもあり、現場の選手、コーチ陣などへの配慮から、早期の監督人事問題の言及を控え、最終決定を待ってから発表したい意向を示していた。ただ、今回の取締役会でも、大幅な方向転換はなかったもようで、続投の方向性は、現時点では変わっていない。

 チームは13日のロッテ戦で敗れ、5位転落。初のクライマックスシリーズ出場に向け、極めて危機的な状況だ。それでも、今季の交流戦では球団創設4年目で初の勝ち越しをマークするなど、球団の野村監督の手腕に対する評価は高い。さらに、今年の野村監督の人気急上昇ぶりも球団としては見逃せない要素だ。連日、テレビニュースなどで試合後の談話が放映されるのは、12球団で唯一。在京民放局関係者は「野村監督のボヤキはスポーツコーナーの目玉です。視聴率も、野村さんの出番がピークになる」と話す。球団のブランド戦略上でも、全国的な注目を集める野村監督は不可欠といえる。

 前人未到の「選手、監督ダブル通算3000試合」達成となる、15日の日本ハム戦に備えて野村監督は13日に仙台を離れ、都内の自宅に戻った。続投要請について「まだ、何も聞いていないよ」と、フロント側との会談の打診も現時点ではないと話した。正式な要請は、球界の慣例からも前半戦終了の球宴休み以降になる見通しだが、今週は、またとない“チャンス”が訪れる。18日に三木谷会長が仙台を訪れ、ソフトバンク戦を観戦予定。関係者によれば今回は応援のためだが、会長と監督の接触は自然な流れといえる。果断な会長らしく、非公式ながら続投要請が飛び出る可能性はある。

 「ボヤキは理想と現実のギャップから生まれる」とは野村監督。「2年後にはリーグ優勝したいんだ」と米田球団代表は語る。球団の理想と現実を一致させるべく、来季もボヤキは見られそうだ。