<広島3-9中日>◇19日◇マツダスタジアム

 中日の「恐怖の7番打者」藤井淳志外野手(28)が、10号3ラン&ダメ押しタイムリーで球団記録を更新中の広島戦連勝を「13」に伸ばした。2回に先発ルイスから先制の右越え3ランを放ち、8回には3番手シュルツから右前適時打でこの回6点の猛攻を演出した。首位巨人が勝っても1・5差でピタリ追走。貯金を今季最多23とした落合竜の勢いも止まらない。

 藤井のバットから描かれた放物線が、右翼スタンドに到達した。2回1死一、三塁から広島ルイスに浴びせた1発は、プロ初の2ケタ本塁打となる先制の10号3ラン。昨年までプロ3年間で3本塁打の男の大変身をあらためて証明する区切りのアーチだ。「積極的にいこうと思っていたらたまたまいい当たりをしました」。喜びは控えめだった。

 これが左打席7発目。今季右打ちから3年ぶりに両打ちに戻した効果を、存分に発揮している。パワーでやや劣る左打席では、右打席用のバットより0・25インチ(約6ミリ)短い33・75インチのものを使うが、芯でとらえれば楽々とスタンドまで運ぶ。それでも「左で(打席に)立つことが多いからじゃないですか。左のほうが力があるというわけじゃないですし」と平然と話した。

 その左打席でさらに2安打を重ねた。8回、同点から1点を勝ち越し、なおの1死一、三塁の場面。3番手シュルツのチェンジアップを、やや体勢を崩されながら右前にはじき返し5点目をもぎ取った。「とにかく何とかしようという気持ちでやっていた」。これで勢いがついた打線はこの回打者11人で6点の猛攻を浴びせ、一気に試合を決めた。それでも藤井の集中力は切れず、9回には5番手牧野から3安打目を放った。

 恐怖の7番打者だ。打率はリーグ4位の3割1分1厘にアップ。10本塁打、45打点と下位打線らしからぬ成績を残している。今季は中堅の守備位置をほぼ手中にしながら、落合監督から何度も辛口評価されてきた。6月7日の交流戦・西武戦(ナゴヤドーム)では打率3割をキープしていたが好機に凡退。「そのうち代打を送られるぞ」と言われた。精彩を欠けばスタメンを外された。期待が大きいからこその英才教育に、必死に食らいついている。

 これで広島戦は13連勝。新記録を更新中の広島戦の連勝記録をまた1つ伸ばした。上位でも下位でも点の取れる打線が、首位浮上に向けさらに勢いをつける。【村野

 森】

 [2009年8月20日12時31分

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