<ソフトバンク4-5日本ハム>◇26日◇福岡ヤフードーム

 

 日本ハムが土壇場の粘りを見せ、パ・リーグ優勝マジックを「7」とした。延長12回の末、5-4で逆転勝ち。2点を追う9回、2死走者なしから反撃し、代打二岡智宏内野手(33)の適時打で同点。12回にターメル・スレッジ外野手(32)の24号ソロで勝ち越した。延長12回引き分けの前夜に続き、劇的勝利で連敗を4で止め、マジックを1つ減らした。マジック対象の3位楽天も勝ち最短Vは10月1日オリックス戦(札幌ドーム)に延びたが、2季ぶりVへ着実に前進した。

 劇的な2本のヒットが、トンネルを抜け出す道しるべになった。敗色濃厚な9回2死からの〝うっちゃり勝利〟。連敗を4で止め(引き分けを挟む)、19日オリックス戦以来、1週間ぶりの白星を手にした。梨田監督は「よく(打線が)つながった。みんないい仕事をしたね。連敗脱出?

 (引き分けの)昨日も勝った気でいたけど…、でも粘りが出てきた」。2夜連続となる延長12回、合わせて9時間をゆうに超える熱戦にも、疲れの色はなかった。

 全力で走ることも、守備に就くことも難しい男が、バットでチームを救った。2点を追う9回2死走者なし。右ふくらはぎに不安を抱える二岡もベンチに腰を降ろしていた。しかし坪井、金子誠の連打で場内の雰囲気は一変。「代打いくぞ」。主にDHや途中出場で過ごしてきた1年。声がかかるとすぐに集中力を高めてスタンバイした。

 出番は相手バッテリーのミスで1点差に詰め寄った2死一、三塁の場面。マウンドには摂津がいた。今季3度の対戦で3三振と完敗している相手。「2三振でしょ?

 あっ、3三振だっけ。そういう悪いイメージはありました」。苦手意識をぬぐい去るように、あえて初球からフルスイングした。高めの直球をファウルにすると、同じコースにきた2球目の真っすぐを右前にはじき返した。「狙い球とかはなかったけど、勝ててよかった。みんながつないでくれたチャンスだったので、打ててよかったです」。ベンチは一気にお祭りムードとなり、延長12回スレッジの決勝弾につながった。そのスレッジも「みんながあきらめないでつないでくれたから、こういう結果になった」とチームメートに感謝した。

 二岡は脚部に〝爆弾〟を抱えながらシーズンを過ごしてきた。試合がどんなに遅くなってもケアを欠かさず、食事の際にはアルコールも控え、野菜を多く摂取した。念入りに体をいたわってきたのに…。前日25日、昨年肉離れを起こした右ふくらはぎに痛みが出た。「今までだったらそのままプレーしていたと思う。でも昨日は、自分から(無理だと)言いました。今思えば、なんで昨日は言ったのかな」。努力を重ねてきた自分に対する、神様からの「警報」だったのか。初めて自分でブレーキを踏んだが、結果的に無理をしなかったことで、この日の出場につながったのかもしれない。

 優勝マジックは「7」に減った。最短Vは10月1日札幌ドームのオリックス戦。打線に活気が戻り、優勝へのカウントダウンはいよいよラストスパートに入った。【本間翼】

 [2009年9月27日10時18分

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