<阪神8-11広島>◇8日◇甲子園

 岩田、能見、安藤を欠く阪神先発陣の苦悩が解決しない。打線は相変わらずの猛打も、今季ワーストの11失点17被安打で広島に競り負けた。5月に入って7試合、先発が6回を投げ切ったのは1度だけで、救援陣の月間防御率も5・47に悪化。ジェイソン・スタンリッジ投手(31)を4回まで我慢した真弓明信監督(56)だが、交流戦に向け、リリーフの疲労蓄積を避けようと、懸命のやりくりが続く。

 3回、桜井の走者一掃二塁打で3点差をひっくり返し、流れは阪神に来たハズだった。だが先発スタンリッジが踏ん張れない。直後の4回、東出の二塁打など2死三塁のピンチを招いて降板。再び逆流した勢いは2番手川崎も止められず、あっさり逆転を許してしまった。

 3回まで毎回失点。逆転したことで、4回頭からスパッと替える手もあった。だが真弓監督の選択は続投。何とか逆転を機に立ち直り、白星をつけたい親心もあったのだろう。何より、救援陣に大きな負担をかけたくなかった。点を取った後に取られるなという鉄則を考えても、勝敗を左右する最重要の局面。だが結果は一番残念ものになった。

 「我慢して投げさせたいんやけど、試合の方がね…。(でも今から思えば)もうちょっと我慢しとけば、あとの投手(中継ぎ陣)が楽になったかもしれない」

 監督も悔いが残ったようだ。4回途中から川崎、渡辺、西村、筒井、石川と必勝リレーの一員まで投入せざるを得なくなった。しかも悪い流れのまっただ中で。中でも試合数の半分、17度目登板となった筒井は2回4失点。攻撃陣は何度も奮起して8点を奪ったが、今季ワーストの17安打&11失点は重過ぎた。「先発があれだけ打たれるとね。なかなか追いかけても苦しくなる」。監督もうめいた。

 それでも貯金6で2位はキープした。この10試合で見れば7勝3敗。一見、痛くもない敗戦に映る。だが先発陣の危急を告げる1敗であることは間違いない。特に5月の7試合では、先発に勝ちがついたのは2試合だけ。それも5イニングずつで降板した。当然負担は後ろに行く。すでに20試合に登板、今月3試合で2度救援に失敗した久保田にも疲労が見え隠れする。

 20勝のうち逆転勝ちは13度。華々しい数字ではある。だがその深意は、先発陣が先手を許しても、重量打線の爆発&救援陣の奮投でうっちゃってきたことの裏返しだろう。確かに完投能力のある岩田、安藤、能見の3本柱の離脱は痛過ぎる。だがこのままいけば、救援陣も1年間は持たない。

 常に中5、6日以上を空け、十分な調整期間をもらっている先発陣は、6回は投げ切らならいといけない。いくら救援陣が強固とはいえ最低でも5回は義務だろう。このままでは先発に好投手がそろうパ・リーグとの交流戦も勝ち抜けないし、残り110試合もあるペナントは勝ち取れない。9日の先発は5年目23歳の鶴。若き孝行息子の誕生をみんなが待ち望んでいる。

 [2010年5月9日11時40分

 紙面から]ソーシャルブックマーク