<楽天3-2阪神>◇1日◇Kスタ宮城

 気合の守護神が劇的な勝利を呼んだ。同点の9回表1死一、二塁で楽天川岸強投手(30)が登板。新井を一ゴロに仕留め、迎えた2死二、三塁ではブラウン監督の敬遠指示に「勝負させてくれ」と志願。代打桧山を空振り三振に切った。魂の11球で流れを手にしたチームは9回裏、鉄平のV打で今季5度目のサヨナラ勝ちを飾った。川岸はお立ち台で「気合」と6度も連呼。5月17日以来となる4位に浮上し、交流戦単独2位に躍り出た。

 男・川岸、入魂の11球だ。同点の9回2死二、三塁。代打桧山を打席にフルカウント。最後はインハイの136キロカットボールで、空振り三振に仕留めた。マウンドの守護神は、右こぶしを握りしめ、雄たけびを上げた。特大のピンチを見事に無失点でしのいだ。お立ち台では「いつもより1・5倍の気合でマウンドに立ちました。三振を狙って死ぬほど腕を振りました。久々に興奮しています!」と桧山との対戦を振り返った。

 まさかの出番だった。8回途中から登板した小山が、同点の9回もマウンドに立ち、1死一、二塁で降板し、ベンチは後を川岸に託した。しかも迎える打者は5番新井。駒大の先輩だ。08年の甲子園での対戦では同点犠飛を浴び、その翌日に「僕の対新井さんの成績を知っていますか?

 3打数3被本塁打なんです」と1年時の4年生への苦手意識を話していた。その新井を4球で一塁ゴロに倒す。そして、エンディングの桧山を迎えた。

 マウンドに走ってきたブラウン監督は、2死二、三塁での左打者・桧山との勝負を嫌い、敬遠で城島勝負の指示を出した。ただ、気持ち十分の川岸には、敬遠の選択肢はなかった。「勝負させてくれ」と言い切り、桧山を2球で追い込んだ。捕手・嶋は言う。「満塁で城島さんだと、死球で1点もあるし、内角を攻めきるのは難しい。城島さんも内角は来ないだろうと、配球を読みやすくなる。だったら、桧山さんの方が、広く配球を組み立てられる」と、川岸の主張に賛同し、キッチリと三振に導いた。

 すっかり守護神の風格も出てきた。サヨナラ勝利を呼び込んで2勝目をマーク。好調の要因は、泥だらけの右ひざだ。「昨年は左太ももを肉離れしたので、あまり走れなかった。今年は、キャンプから下半身を十分につくることができた。だから、今年は去年と比べて下半身を使った投球ができている。歩幅は同じでも、沈み込んでいる。下半身が強くないとできないんです。だから、今年は右ひざが血だらけ。毛もツルツルになっている。去年は毛が生えていたんですけどね」と言う。鍛え上げた下半身から繰り出す投球が、2番手で1失点の片山、走者を残した小山らナインの気持ちを救った。「だれも傷つかない結果になりましたね」。心優しい守護神は、笑顔で球場を後にした。【金子航】

 [2010年6月2日11時7分

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