ソフトB大隣103日ぶりやっと勝てた
<オリックス1-6ソフトバンク>◇16日◇京セラドーム大阪
やっと勝てた-。ソフトバンク大隣憲司投手(25)が103日ぶりの白星を手にした。6回0/3を4安打無失点に抑え、4月4日の楽天戦以来の2勝目。引っ越しやビール断ちなど、あらゆる手を尽くして自身6連敗の泥沼を抜け出した。チームは今月初の連勝で、2位ロッテに0・5ゲーム差と迫った。
カメラのフラッシュを一身に浴びた大隣は帽子を脱ぎ、左翼席のホークスファンへ深々と丸刈り頭を下げた。「勝つのは難しい。情けない結果ばかりで、悔しい思いはずっと頭の中にあった」。103日ぶりの勝利にも涙はない。まだ泣けない。なぜなら、まだまだ物足りないからだ。ただ、この1勝は大きかった。
連敗中とは別人の背番号28がいた。立て続けに打ち込まれる“連打病”に悩んだ左腕が一変した。連打を許したのは7回の降板直前だけ。走者を背負っても、まゆ1つ動かさない。5回には自分の失策で先頭の鈴木を塁に出したが、後続の3人を封じた。「ああいうところで走者を出してもガタガタいかなかった」。圧巻は6回だ。先頭の後藤を四球で歩かせても、カブレラ、T-岡田、セギノールを3者連続三振に仕留めた。秋山監督も「落ち着いて投げていた」と目を細めた。
自分を変えたくて、もがいていた。連敗中にはグラブの色を青から黒へチェンジ。6月9日の2軍降格後は大好きなビールも断った。ついには同月末、引っ越しまで敢行した。実は今季初勝利翌日の4月5日に転居して以降、連敗のトンネルに入っていた。「風水で方角を教えてもらいました。(以前の住所は)本当に鬼門だったみたいで…」。まだ未開封の段ボール箱もあった部屋を引き払い、3カ月足らずで同じ福岡市内へ居を移した。何でもいいから、きっかけが欲しかった。
最も変わったのはハートだった。フォームもワインドアップに変更したが「それでどうこうはない。球自体はずっと悪くなかったので、しっかり気持ちをもってやれた」と要因を明かす。2軍では砂浜で走り込み、猛ノックも受けた。「自分を追い込んで、一からやり直した」。この日、かぶっていた帽子のつばの裏にも「気持ち!!」と書き込まれていた。
かつて秋山監督に「何がしたいのか分からない」と酷評された男の面影は、もうない。「ここから勝ち続ける気持ちでやっていきたい。勝てなかった分、これからチームに貢献していきたい」。勝ちたい-。今の大隣の胸には、強い意思だけがある。【太田尚樹】
[2010年7月17日11時44分 紙面から]
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