<オリックス2-4ソフトバンク>◇18日◇京セラドーム

 ソフトバンク5年目の陽耀勲(ヤン・ヤオシュン)投手(27)が先発初勝利を挙げた。毎回走者を背負いながら、5回を6安打2失点。2年ぶりの先発チャンスを生かし、中継ぎでプロ初勝利を挙げた08年7月27日ロッテ戦以来、721日ぶりの白星をつかんだ。先発ローテの谷間を埋める活躍で、後半戦の先発スタッフ入りをアピールした。

 京セラドームに、たどたどしい日本語がこだました。「アリガトウゴザイマス」。初めてのヒーローインタビューで慣れていないせいか、陽耀勲はガムをかんだまま喜びを口にした。台湾から来日して5年目で、ようやくつかんだ先発初白星。マナーを忘れてしまうほどうれしかった。

 慎重さと大胆さを使い分けた。かつて155キロを計測したこともある直球は、140キロ台中盤がほとんど。持ち味を殺してでも、課題の制球を重視した。1回に連打を浴び1死二、三塁で打席にはカブレラ。「絶対に打たせたくなかった」。カウント2-2から持てる力を解放した。歯を食いしばって投じた直球は、この日最速の150キロ。力勝負で空振り三振に仕留め、続くT-岡田も146キロ直球で一邪飛に抑えた。

 2年前の悪夢を乗り越えた。08年7月29日の日本ハム戦でのプロ初先発。犠打による1アウトしか取れず、 1/3 回無安打4四死球4失点で降板した。「ブルペンと全然違うフォームだった」。緊張で自分を見失い、ベンチで唇をかんだ。あれから2年。毎回、走者を背負いながらも「平常心で投げられた」と胸を張った。

 やっと故郷へ朗報を届けられた。入団時には台湾の英雄でもある王監督から「天性の才能を感じさせる」と期待されたが、07年に左足首を2度骨折するなど故障に悩まされた。つらい日々で励まされたのが「努力」の2文字。幼いころから父徳興さんに言い聞かされた「スポーツ選手が成功するには練習に練習を重ねるしかない」という言葉は、脳裏を離れなかった。昨季終了後は台湾へ帰らず、福岡に残り“独りぼっち”で汗を流した。オフを満喫する時間などなかった。「ウイニングボールは宝物にしたい」。両親には「お待たせしました」と伝える。

 夢はさらに広がる。弟の日本ハム陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)との兄弟対決に「早く実現させたい」と胸を高鳴らせる。先発枠争いだけでなく外国人枠争いも厳しいが、負けるつもりはない。「与えられた機会にしっかりした投球をしたい」。異国の地に「陽耀勲」の名をとどろかせる。

 [2010年7月19日12時31分

 紙面から]ソーシャルブックマーク