ソフトバンク松中信彦外野手(36)が「WBCスタイル」で短期決戦を勝ち抜く。9月30日は休日返上で福岡ヤフードームを訪れ、走り込みなどに汗を流した。球団初のCS突破へ向け「そういう感じになる」と思い浮かべたのは、世界を制した06年WBC。日本代表の主砲として本塁打こそなかったが、チームトップの打率4割3分3厘を残し「つなぎの4番」として貢献した。

 「もちろんホームランを打てればいいけど、チームの勝ちが一番。後ろへつなぐ気持ちでやっていく」

 シーズン終盤戦では小久保やオーティズがバントを決めるなど、秋山監督が提唱する「全員野球」で2位西武とゲーム差なしの大混戦を勝ち抜いた。CSでも3番を任されることが有力な松中には長打力も期待されるが、ここぞの場面ではバントや右打ちなどのチーム打撃を辞さない構え。「つなぎの3番」に徹する覚悟だ。

 新しい命のためにも負けられない。前日まで3日間のオフは家族サービスに努めた。「嫁さんがもうすぐだからね」。妻恵子さん(37)は今月末に第3子を出産予定。今季は「家族」をテーマに掲げ、日本一を奪回してのV旅行を夢見て戦ってきた。「やるべきことをやるだけ」。その瞳には、頂点だけしか映っていない。【太田尚樹】

 [2010年10月1日11時2分

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