巨人のホットコーナーを巡る注目のバトルがスタートした。宮崎キャンプ2日目の2日、今季外野から三塁に転向した亀井義行内野手(28)が初のシートノックで、新外国人ラスティ・ライアル内野手(27=ダイヤモンドバックス)と三塁についた。午後には特守も行い、苦手の逆シングル克服のために猛特訓だ。09年には右翼守備でゴールデングラブ賞を獲得。過去の実績を捨て、新しいポジションで再出発をはかる。

 表面上では和やかだったからこそ、逆に本気度が伝わった。亀井はライバルの新外国人ライアルとキャッチボールから同じ時間を共にした。シートノックでは何度も言葉をかわし、練習後には助言も受けた。打撃練習でも隣同士で快音を響かせ、「話をしていても、いい人ですよ」と笑いつつ、こう続けた。「勝つか負けるかですから」。

 過去は振り返らない。09年にはおもに右翼として5番に定着し、25本塁打で日本一に貢献しゴールデングラブ賞を受賞した。だが昨季は打率1割8分5厘と大スランプだった。今季は小笠原が一塁に専念する見込みで、亀井の復調の契機にもなればとの狙いもあり、同じく三塁手だった原監督がコンバートを指示した。

 外野手と内野手では動きが大きく異なる。だが、亀井には覚悟となりふり構わない姿勢がある。日が傾いてきたころ、坂本、脇谷と屋外グラウンドで約1時間15分の特守。途中から三塁の位置につくと、三塁線の打球を逆シングルで捕ることを繰り返した。「ライトと三塁では体の動きが逆。だから逆シングルを多く練習するんです」と勝呂内野守備走塁コーチも言うように、逆シングルだけで約40分。亀井は「1球たりとも無駄にしたくないので」と横っ跳びでユニホームを泥だらけにした。「全部捕るつもりだったけど簡単にはいきませんね」。言葉とは裏腹に表情は穏やかで、充実感で満ちていた。

 「今年失敗したらジャイアンツでプレーできない覚悟でやりたい」。自主トレ中にはそう話し、1日の青島神社参拝では絵馬に「懸」と記した。「今年に懸ける気持ちは人一倍強いと思う。ゼロからのスタートです」。亀井はすべてを懸けて、ライバルとの激しい戦いが待つ復活への道を、本格的に歩き始めた。【浜本卓也】

 [2011年2月3日8時54分

 紙面から]ソーシャルブックマーク