日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)が肉体改造から、次段階の「脳トレ」へと乗り出す準備を完了した。3日、今キャンプ2度目のブルペンに入り、今季初めて捕手を座らせて本格投球。わずか26球ながら球威抜群も「フォームがどうという頭ができていない」と感覚には不満そう。今後は新ボディーでのフォーム固めに全知全能を注ぎ、進化へと挑む。

 ダルビッシュが、何度も小首をかしげた。威風堂々のデモンストレーションに見とれる周囲をよそに、ジレンマと闘っていた。捕手を立たせて14球、本格的に座ってもらい26球。うなりを上げる剛球には、自分自身は目もくれなかった。「フォームが、どうという頭ができていない。ただ投げただけ」と、冷静に課題と向き合った。

 課した最初のハードルを、まず越えた。昨季より約10キロ増で、今回のキャンプへ突入。筋肉量を増やし、パワー投手として1ランク上のレベルを目指すことが狙いだった。「ずっと同じことをやっているんじゃ、おもしろくない。現役のうちは…」との探求心が、今季への出発点になった。

 この日が最終日の第1クールの3日間で、初日に続き2度目のブルペン入り。並行してランニングなどメニューの質、量を落とさずに、新ボディーを追い込んだ。「追い込んだので、腰とかに張りがあった」という状態。感覚と動作がシンクロしていない状態で投げ込みを敢行。一緒に投げ込んだ他投手と比べ、吉井投手コーチが「少年野球の選手の中に1人、高校野球の投手がいたみたい」と圧巻だったが、やや消化不良だった。

 1日のオフを挟み、5日からの第2クールで、試行錯誤しながら仕上げていくことになる。梨田監督からこの日直接、5年連続の開幕投手に指名されたが「一番はケガをしないこと」と、まだ興味なし。「休み明けからしっかり投げられればいい」と目の前の壁を見つめた。フォーム固めの原点は、日々勉強している運動原理を基にした理論。その思考を、排気量を上げた体とマッチさせる作業に入る。驚異の球春を運ぶ日は、また近づいた。【高山通史】

 [2011年2月4日9時59分

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