真弓阪神が鬼門ナゴヤドーム対策で同球場仕様のマウンドを設営したことが1日、分かった。打線沈黙での敗戦が目立つことから、甲子園の室内練習場に同じ赤土を用いたマウンドを造った。首脳陣の要望でキャンプ中の1カ月間で完成。天下を統一した豊臣秀吉ばりのアイデアと行動力で鬼門を克服する。
打てぬなら造ってしまえ敵マウンド!
ホトトギスも思わず鳴き出すようなマル秘作戦を真弓阪神が実行した。1月の自主トレ中にはまっさらだった室内練習場。ナインがキャンプから帰ってみると、こんもりと小さな赤土のお山ができていた。
豊臣秀吉伝説の一夜城ならぬ1カ月でのマウンド築城だ。甲子園練習の初日。室内練習場にお目見えした新マウンドこそ、鬼門ナゴヤ攻略のトリデだった。
これまで室内練習場には本物の円形マウンドがなかった。打撃練習は平地からの投球を打つか、角度をつけるために投手が板の上に乗って投げた球を打つしかなかった。降雨のため室内で行われた09年秋のトライアウトは、急きょ土を盛った臨時マウンドで対応。そこで今回、首脳陣が要望し、常時実際の試合と同じ感覚で球を打つことができるマウンドが造られた。
球団関係者は「どうせなら、ナゴヤドームの土を入れた方がいいという話になりました」と明かす。首脳陣の1人も「勝つためにはいろんな策を講じるよ」とほくそ笑んだ。
阪神は長年、ナゴヤドームが大の苦手だ。特に打撃の沈黙が目立ち、チーム打率2割9分を誇った昨年のダイナマイト打線でさえ、同球場では2割5厘と湿った。97年の開場以来、14年間で勝ち越しは3回だけ。昨年も9月の大一番で連敗するなど2勝10敗と大きく負け越し、V逸の要因となった。
緊急工事はナインがキャンプに向かった2月に始まった。コンクリートに円形の穴を開けて基礎をつくり、本物のマウンドをつくった。投入したのはナゴヤドームと同じ赤土だ。同球場のマウンドは少し固めで、打者には他の球場より少し高く感じる特殊な構造を持つ。この微妙な感覚が打者が打てない要因の1つともいわれ、そっくりそのままを再現した。
真弓監督は優勝への条件として「ナゴヤで勝たないといけない」と話している。新マウンド設営は勝利への執念の体現と言える。岡田監督時代、投手が慣れるように甲子園ブルペンの土をナゴヤ仕様にしたことはあったが、打者向けの対策は初めてだ。
名古屋遠征前には、このマウンドを使った打撃練習を組み込み、目慣らしをすることができる。また投手陣も、本番直前、ナゴヤ仕様のマウンドで投球感覚を養えるメリットがある。虎の聖地にぽっこりできたナゴヤの敵陣。イメージトレーニングを積んで竜退治を果たせば、6年ぶり天下統一も近づくはずだ。




