<ソフトバンク4-2楽天>◇4日◇福岡ヤフードーム

 巧打あり、激走あり、涙あり、爆笑あり。ソフトバンクがどんたくシリーズで、お祭り騒ぎの首位浮上だ。主将小久保裕紀内野手(39)が先制打と好走塁で楽天を下して3連勝を呼び込むと、不振だった多村仁志外野手(34)は涙のお立ち台。敗れた日本ハムと並んで同率首位。黄金週間で今季最多の貯金5だ。

 ドラマチックな1日は、主将小久保のバットで幕を開けた。初回2死一、二塁。3ボールになって、直球一本に絞ったスラッガーが、貴重な先制点を呼び込んだ。楽天永井の139キロ直球に詰まりながら左翼線への二塁打。4打数4安打だった前日に続いて5打席連続安打で、首位浮上への扉を開いた。

 小久保

 絶対ストライクが来ると思っていた。

 打つだけでは終わらない。2死二、三塁となり、二塁走者に残った小久保が次打者多村の一打で激走した。多村は2ボール2ストライクからの5球目フォークをすくって左前安打。左翼正面の打球で通常ならアウトのタイミング。だが、プロ18年目の経験と技が価値ある追加点に結びついた。

 小久保

 いいスタートが切れたわ。リードが大きかった。あれで(本塁に)かえって来られたから、まだ(現役を)辞めんでいいわ。ノーマークやったからな。ここ数年ないスタート。最短距離で行ったわ。

 本塁生還は転がりながら右手でベースタッチ。今年10月に40歳を迎えるベテランの好走塁に、ベンチで選手会長の川崎がほえた。「40歳には思えんわ」。執念でもぎとった3点目は、タイムリーを放った多村を苦しみから解放するものだった。

 試合後。お立ち台に呼ばれた2点打の多村が、大観衆の声援に包まれて泣いた。昨季チーム3冠が、前日まで打率2割1分の大不振。この日も試合前に秋山監督、立花、藤井の両打撃コーチからアドバイスを受けたように連日助言に耳を傾け、もがいていた。

 多村

 監督、コーチ、チームのみんなに励まされてヒットを打てた。(スタンドに向けて)辛いこともあると思いますけど、辛いことばかりは続きません。自分を信じてやっていけば、報われると思う。頑張っていきましょう。

 最後は涙が止まらず、うまく言葉にできないほど。お立ち台の後も、多村は再び「いい仲間がいるから…」と周囲の支えに感謝を述べると涙に暮れた。

 ただ、お祭りのフィニッシュは、やはり笑顔が似合う。ヒーローインタビューを終えた多村を、選手ロッカーで全選手が待ち構えていた。涙したことを冷やかされる多村を、新助っ人レルーがティーバック姿でお出迎え。大爆笑の渦だ。

 チームの絆でつかんだ3連勝。黄金週間で貯金を稼ぎ、貯金も今季最多の5。何より、日本ハムと並び首位に返り咲いた。小久保が言った。「明日は(先発が未勝利の)岩崎やな。プロ初勝利を上げんとな」。仲間を思うチームを象徴するようなコメントだった。【松井周治】