<ロッテ4-6ソフトバンク>◇15日◇QVCマリン
ソフトバンクが多村仁志外野手(34)の戦列復帰で、単独首位を守った。左手小指裂傷で約5週間戦線離脱したスラッガーが、決勝打を含む2安打3打点の活躍だ。昨秋クライマックス・シリーズ(CS)で2敗するなどチームが苦手にしたロッテ成瀬もKO。故障禍に苦しむホークスに頼もしい男が帰ってきた。
小さく握ったコブシに、多村の喜びが詰まっていた。5回。同点とし、なおも2死二塁。ロッテ成瀬のスライダーを左前に運ぶ決勝タイムリー。一塁ベース上、右手でガッツポーズをつくった。
「久しぶりに1軍に帰ってきて、チャンスで打てた一打。自分でも納得いくバッティングでした」。
7回には1死二、三塁で三遊間を抜く、2点適時打。昨秋CSで2敗した成瀬を、マウンドから引きずり下ろした。天敵サウスポーには、1週間前に多村不在の打線が完封勝利を献上していた。打線はここ2試合連続で無得点と湿っていたが、背番号6が活力を注入した。
1カ月を超える戦線離脱を味わった。6月8日の巨人戦(福岡ヤフードーム)で死球を受けて左手小指裂傷。肉がえぐれ、骨が見えるほど傷は深かった。全身麻酔で縫合手術を受け、翌9日に抹消。ただ、炎症は免れないとの診断を受け、1週間は汗もかけないため、完全に体を休めざるをえなかった。「早く野球がしたい」。2軍戦5試合に出場。1本塁打を含む12打数5安打。満を持して1軍復帰すると、即5番ライトで先発メンバーに名を連ね、チームを救ってみせた。
不在期間にナインと交流戦優勝の喜びを分かち合えなかった。それでも、多くの選手が「多村が帰ってくるまで首位にいる」と約束してくれたことがうれしかった。「嫁さんも(そう言ってくれて)喜んでいました」。この日の試合前の円陣でも「お帰りなさい」と多村復帰を喜ぶ輪が出来上がっていた。自らが離脱した間、若手が奮闘する1軍戦を可能な限りテレビで見た。自らがプレーできない、もどかしい時間にはピリオドが打たれた。チームの単独首位キープに貢献。貯金も今季最多タイの22に戻した。
秋山監督も「多村はいい状態で戻ってきてくれて、それをそのまま出してくれた」と最敬礼。リーグ連覇という最も大きな喜びに向け、ホークスに多村の存在は欠かせない。【松井周治】



