<広島3-1阪神>◇20日◇マツダスタジアム

 広島前田健太投手(23)の力投で前半戦を白星フィニッシュだ。阪神戦にスライド先発して8回1失点。今季最多タイの128球を投げ、粘り抜いたマウンドだった。14日の横浜戦(マツダスタジアム)に続く連勝で今季5勝目をマーク。この日は6Kで今季通算99奪三振とし、再びリーグトップに返り咲いた。勝負の後半戦に向けて弾みをつけた。

 お立ち台のスポットライトはベテラン前田智徳外野手(40)に譲っても、紛れもないヒーローは前田健だ。前半戦の最終戦。使命感に燃え、ひたすら右腕を振った。6回。ブラゼルの右中間適時二塁打で1点を失っても冷静さは失わない。2死三塁。金本には迷わず内角に速球を投げ込み、力で遊飛に詰まらせた。

 前田健

 あそこは際どいところに投げて、次の打者で勝負ではない。全体的にいい感じで投げられた。最終的に勝ちをつけてもらい本当にうれしいですね。

 粘りのマウンドだった。1回も無死一、二塁のピンチを招いたが、阪神の主軸を抑えきった。右打者への外角スライダーが効果的に決まるなど、変化球主体の投球が冴(さ)えた。沢村賞に輝いた昨季の残像を消し去り、最少失点で切り抜ける粘りの投球を貫いた。

 この1カ月、白星から見放された期間は2度あった。ともすれば自分を見失いがちになったとき、必死で奮い立った。大野投手チーフコーチに「昨年のいいイメージを追うと、走者を背負ったときの気負いが大きすぎて投げ急ぐ傾向がある。我慢して、今の自分の投球をしよう」と声をかけられ、肩の力も抜けた。

 昨季は帽子のつばに「責任」「余裕」と書いていたが、今年はいつしか「自分を信じる」と書き込んだタイプを使う。勝てなくても腐らずに踏ん張る。「自信」というシンプルなキーワードが、復調へと導いた。

 本来なら前日19日に登板予定だったが台風接近で中止になりスライド先発。責任感の強さもほとばしる。

 前田健

 前半戦最後にどうしても投げたかった。スライドで投げさせてもらって意気に感じる。いい投球をしないといけない。

 暗闇のあとは光がある。好投を重ね、後半戦開幕の26日ヤクルト戦(神宮)での先発も決定的だ。よみがえったエースが反攻の旗振り役になる。【酒井俊作】