<オールスターゲーム:全パ5-0全セ>◇第3戦◇24日◇Kスタ宮城

 全パのソフトバンク摂津正投手(29)は特別な思いを胸に抱いていた。4番手として4回から登板。パでこの日唯一の2イニングを任され、2安打無失点に抑えた。

 高校卒業後にJR東日本東北に入社。東日本大震災後、第2の故郷・仙台では初の登板だったが田中、ダルビッシュ、和田のリレーをつなぎ、全パの完封勝ちに貢献した。

 「いつものように投げることだけを考えた。ここがKスタになる前(社会人時代)から投げていたから」

 4回先頭の村田を宝刀シンカーで空振り三振。続く石原を141キロの直球で空振り三振に仕留めた。普段通りの投球を東北のファンに見せたい-。持ち味の制球力を武器に直球と変化球を織り交ぜ、ダルビッシュに「パ・リーグで一番のコントロール」と言わしめた実力を見せた。

 球宴は2度目だが、先発としては初めて。普段は寡黙だがダルビッシュや田中らにも積極的に話しかけた。相手は年下でも先発としては“先輩”。投球術、調整法など少しでもヒントを得ようとした。

 「(震災後)初めて仙台に来た時は正直、複雑な気持ちだった。自分自身にとっても本当に良かった。仙台の知人もたくさん見に来てくれたから」

 震災直後には宮城県へ行って少しでも被災者の役に立ちたいと心から願ったが、チームを離れるわけにもいかない。宮城県庁へ個人的に義援金を送った。JR東日本東北時代は宮城県内で駅員を務めた時期もある。少しでも復興へ向かおうとする仙台で球宴が盛り上がったことは素直にうれしい。そして、その舞台で好投を見せたことが、一生、忘れられない思い出となった。【奈島宏樹】