<ヤクルト4-2巨人>◇2日◇神宮

 小川マジックで、首位奪取をもくろんだ原巨人を一蹴した。3連敗なら首位陥落の3連戦の初戦。ヤクルト小川淳司監督(54)は、覇気のないバレンティンをスタメンから外した。リーグ本塁打王を使わない大胆な用兵に、停滞気味だったチームのムードは一変。2点のビハインドを5回までにうっちゃり、後半、調子を上げた先発村中がリードを守って完投した。巨人とのゲーム差を3に広げ、11年ぶりの巨人戦勝ち越し(11勝6敗4分け)も決めた。

 試合開始の約4時間前、神宮のグラウンドに歩み出た小川監督は、1つの決断を明かした。「バレンティンは外します。ずっと長打に期待してきたけど、あいつには奮起してもらわないといけない。危機感を感じてほしい。打っても走らないし、(右翼の守備では)カバーもしない」と冷静に話し続けた。

 2ゲーム差に迫られた巨人との首位攻防戦第1ラウンド。勝負をかけた試合で、リーグトップ25本塁打の助っ人を外した。沢村から本塁打を放つなど対巨人4本塁打10打点だが、4試合連続無安打中だった。前日は遊ゴロを放った際に、一塁への全力疾走を怠った。何度も注意してきたプレーを繰り返し、改善が見られない。スタメンを外すのは歯痛による8月20日以来だが、怠慢プレーでは初だった。

 温厚な指揮官の決断に、選手が結果で応えた。8月は月間打率2割2分4厘と苦しんだ打線が、1点を追う5回につながった。2死二塁から、青木がフォークを捉え、右中間を深々と破る同点適時三塁打を放った。「技術的なことじゃなくて、気持ちで体が動いた」。続く田中は9球粘って中前にはじき返し、勝ち越した。伊勢総合コーチは「今日は集中力があった。今季一番ちゃうか」と大一番で勝負強さを見せた。

 バレンティンを外した小川監督だが、対巨人用に攻撃的な手も打った。守備に難がある畠山を10試合ぶりに左翼で先発させ、一塁にホワイトセルを起用した。畠山は2回に左翼線の打球をはじいて二塁打にするミスはしたが、8回はバットできっちりとダメ押しの適時二塁打を放った。

 長いシーズンを見据え、外国人選手に対しては毅然(きぜん)とした態度で対応する。助っ人の代打出場もない中、対巨人11年ぶりの勝ち越しを決めた。チームを律しながら、大きな勝利をつかんだ。【前田祐輔】