プロ野球の臨時実行委員会が22日、都内のホテルで開かれ、TBSホールディングス(HD)と横浜球団譲渡で合意したディー・エヌ・エー(DeNA)の球界参入について審議した。外部機関に財務調査を依頼していた監査結果などを基に約4時間にわたり12球団で意見交換。DeNAの参入について反対の楽天は、その理由などについて説明を行い、途中からはDeNA春田真会長(42)が出席し約1時間にわたって質問に答えた。参入の可否について結論は出ず、12月1日のオーナー会議と臨時実行委員会で結論を出すことになった。

 DeNAの球界参入を審議する臨時実行委員会は約4時間にも及んだ。会議前に「方向性が出るだろう」と話していた球団関係者もいたが、結論は持ち越された。会議の最後に日本野球機構(NPB)加藤良三コミッショナーから「慎重厳正に審査していきましょう」と発言があり、継続審議が確認された。

 DeNAの球界参入について拒否の姿勢を明確にしている楽天は、会議の席上、反対理由について説明を行った。あらかじめ資料を用意し、大型スクリーンを使って約1時間にわたり各球団代表に訴えかけた。

 携帯電話向けゲームサイトを運営するグリー(GREE)が21日に起こした損害賠償訴訟や、経済誌に報じられた株式の不当取引疑惑について、楽天の分析と解釈を述べた。株式については外国人持ち株比率の推移などを精査し、具体的な数字を挙げ株式比率の推移などを提示したとみられる。

 説明で最も時間を割いたのは「出会い系」サイトの温床となる業務内容が含まれている、と解釈している点とみられる。DeNAのコンテンツが関わり発生した過去の事件実例を挙げ、青少年健全育成の観点から疑問を投げかけた。一部の委員からは「やりすぎだ」という声が上がるほどだったという。

 会議が始まって2時間以上が経過してから、DeNA幹部が質疑応答のため会議室に入った。NPB下田事務局長は「日本シリーズの第6、7戦の最中にDeNA側から『質問が出るかもしれないので待機しましょうか』と連絡があった」と明かし、問題点に直接説明する形となった。

 会議終了後、楽天の井上オーナー代行は「内容についてはノーコメント」を繰り返し、「12月1日に、何らかの結論を出しましょうということ。現時点では、どこの球団も慎重に審議するということで一致している」と述べた。

 下田事務局長は「選手や球団職員のことを考えれば時間の浪費は出来ない」と話した。今後は各球団が審査内容を持ち帰って再検討する。セ・リーグは30日の理事会で統一見解をまとめる予定。パ・リーグでは理事会などは予定されていない。12月1日の臨時実行委員会とオーナー会議でそれぞれ決議を行い、参入を承認するかどうかを決める。

 この日、承認への方向性が出るとの見方もあったが、楽天の問題提起で一気に進展とはいかなかった。