西武ドラフト1位の十亀剣投手(24=JR東日本)が、打者9人をパーフェクトに抑える完全デビューを飾った。23日、自身初の対外試合となる広島との練習試合に先発。東出、栗原ら主力を含む相手に対し、3イニングすべてを3分台で仕留める野球版「3分間クッキング」でコイ打線を料理した。昨年の牧田に続き、新人王を狙うサイドスロー右腕が、即戦力の実力を存分に発揮した。

 コイ打線の“料理”に要した時間は、3回合計でわずか10分16秒だった。先発した十亀が1回の3分25秒を皮切りに、2回3分27秒、3回は3分24秒の高速斬り。3イニング全て3分台の野球版「3分間クッキング」で対外試合デビュー戦を飾った。「試合前に監督にテーマを聞かれて、テンポ良く、フォアボールを出さないことを挙げたんですが、それがよくできたと思います」。指揮官への公約を見事に果たす投球だった。

 「初めてということで緊張した」と振り返る姿とは対照的に、威風堂々と打者を抑えた。先頭打者の天谷は連続ボールで入ったが、3球目にスライダーで中飛。東出はシュートで遊ゴロ、バーデンの初球には105キロのカーブで目先を変え、スライダーで空振り三振を奪った。最速143キロの直球に緩急も自在。キレ味抜群の宝刀で的確に打者の“急所”を突き、凡打の山を築いた。

 名は「剣(けん)」。剣豪好きの父親が、名付けたが、紆余(うよ)曲折を経て決まった名前だった。最初の候補に挙がったのは「武蔵」。次の候補は「小次郎」だったが、親類中の反対を受け、ともに却下。最後に「剣」に決まったが、最初は「けん」ではなく「つるぎ」だった。「歴史的人物の名前ばっかりで」と笑ったが、侍の名に恥じぬ姿は、渡辺監督が「何と言っても、マウンドでの雰囲気がいい」と評した堂々たるマウンドさばきが物語る。

 「直球、シュートで打ち取るのがスタイル」と話すように、真骨頂のテンポの良さとともに、プロ仕様のスタイルも見せた。末永、広瀬はともにシンカーで空振り三振。キャンプ中、渡辺監督から「勝負できる球が必要だよ」とウイニングショットの習得を指令を受けたが、最高の結果で応えた。11日のシート打撃では打者10人に対し、5者連続を含む6奪三振。16日の紅白戦は2回を1安打無失点に抑えるなど、即戦力を証明する好投を見せる。

 渡辺監督は「あれぐらいは投げると思っていた。基本的には先発だが、リリーフの可能性もある」と戦力構想に入れる。次回登板は先発の予定だが、チーム状況ではセットアッパーとしての候補にも挙がった。「監督、コーチからこいつだったら、大丈夫と信頼されるように。(先発、中継ぎでも)言われればどこでも」とフル回転に備え、刀を研いだ。【久保賢吾】