首位決戦の3連戦は、阪神が2連勝した。内容を振り返っても初戦は中盤まで接戦だったのが、最後は9-1の大差で阪神が勝利。そして2戦目は序盤の3回までで阪神が4点をリードしての圧勝だった。阪神打線が巨人投手陣を力でねじ伏せたという結果だった。
正直、まともに勝負したら、巨人に勝ち目がないという印象を受けた。2試合で阪神は7本塁打を放っている。そのうち3番森下と4番佐藤で3本ずつで6本塁打。阪神の勝因はこの2人の長距離砲の破壊力によるもので、巨人の敗因に挙げることもできる。
どうやって防ぐのか? この2試合は岸田がスタメンマスクだった。内角を投げさせていたが、内角を攻めていた印象はない。森下の3打席目に死球を与えたが、明らかに「打たれたから内角を厳しく攻めた」というだけで、これでは遅い。最初から打たせないために厳しく内角を攻めなければいけなかった。
この試合前まで阪神が受けた死球数は52個で12球団トップ。そのうち巨人からが一番多く12死球だった。ぶつけていいわけはない。ただし阪神の強力打線を相手に内角を厳しく攻めなければ、この2試合のような結果になる。
厳しい内角攻めは強打者の宿命でもある。しかし同じ強打者でも今シーズンは佐藤が1死球で森下は13死球も受けている。森下の死球数が極端に多いのはボールに対して向かって打ちにいく打撃スタイルだからだろう。しかし相手バッテリーからすれば、このような打撃スタイルでくる以上、厳しく内角を攻めなければ抑えられないし、森下も基本的に死球を避けようとするスイングはしない。
死球を巡っていろいろな意見があるが、内角攻めを巡っての攻防も含めて、プロの勝負がある。昔の強打者は「避ける技術」も練習していた。今はそういった練習をしている風景を見たことがない。また、ケガのリスクがあっても、避けようとしすぎると打撃をフォームを崩すため、逃げない打者もいた。ケガをしないように避ける技術を磨くか、厳しい内角攻めは強打者の勲章だと思って我慢するしかない。
死球数がトップの阪神だが、死球を与えた数は12球団で最少の29個しかない。技術の高い投手陣がそろっているとも言えるのだが、逆に言えば味方打線が厳しい内角攻めをされているのに投手陣は「いい加減にしろよ」と言った厳しい内角攻めをしていないということ。それで勝っているのだから「よし」とするかしないかは、チームの方針によるものとしか言いようがない。
ただ、はっきり言えるのは、正攻法の力勝負で阪神に勝てるチームは少ない。特に首位を争いをする巨人が負けないためには、厳しく内角を攻めなければいけない。別に内角攻めをあおっているつもりはないが、巨人が勝つために必要不可欠な戦術だと思う。(日刊スポーツ評論家)




