<阪神6-10楽天>◇20日◇甲子園

 甲子園を黙らせた。楽天銀次内野手(24)が阪神2回戦で、プロ初となる4安打&4打点。ほとんど阪神ファンで埋まった敵地で大暴れした。岩手・盛岡中央時代にはプレーがかなわなかった聖地で、ヒーローインタビューにも呼ばれた。2連勝で貯金は今季最多3。明日22日からは仙台に中日を迎え撃つ。

 しびれを切らした阪神ファンがジェット風船を飛ばし始めた。7-4の7回2死満塁。銀次が筒井から放った打球は、右翼マートンの頭上を越えた。ボールが外野を転々とする間、一気に三塁へ。プロ初の三塁打で走者を一掃し、試合を決めた。裏の攻撃前に風船を飛ばそうと待っていたトラ党が、あきれたように手を放す。ピーと甲高い音が響いた。「夢の甲子園なんで、気持ちいいです。ビジターでしーんとなるのは、快感です!」と笑いが止まらなかった。

 1回には右越え二塁打、5回には左前打で出塁し、ともにホームを踏んだ。6回には右前適時打を放ち、7回の三塁打と合わせプロ初の4安打&4打点。星野監督も「ええ仕事、しとる」とニンマリだ。実は、守りはやや心もとない。打力は評価するだけに「守るところがなあ」が監督の悩みだった。不安を補って余りあった。「2、3点リードした時に(守備固めに)代えようかと思ったが。回ってきたな」と7回の一打を喜んだ。

 星野監督の人間銀次評は「明るい」だ。失敗しても前向き。プロに必要な資質と見ている。朗らかな性格は、東北の大自然がはぐくんだ。岩手・普代村出身。「山も海もあって。海辺はウニがごろごろ。漁師のおじさんが『おい、ぼうず。こっちにいっぱいあるぞ』って。潜って採ったなあ。本当はダメなんですけど、子どもは良かったんです」と、からから笑った。東日本大震災で被害を受けた故郷にも届く活躍だった。

 そんな明るい男も、守備がうまくいかず、体重が1週間で4キロ落ちたことも。早出のノックなど地道な練習で徐々に守備も上達中。それが打撃にも好影響を与えたのだろう。守備に定評ある内村と定位置を争う立場になった。「もちろん、レギュラーを狙っています。それが一番。まだまだです」と元気よく仙台への帰路に就いた。【古川真弥】