<阪神0-2ヤクルト>◇5日◇甲子園

 ヤクルト石川雅規投手(32)に、生命線の「直球」が戻った。167センチと小柄な左腕が、130キロ台の直球で右打者の内角を突く。8回1死、阪神俊介への105球目、133キロの内角直球で、どん詰まりの一邪飛に打ち取った。続く上本は137キロの直球で右飛に切る。4回以降は無安打に抑えて、8回無失点で投げ切った。「久しぶりに切れのあるいいボールを投げられた。CSに向けていい形で入っていける」と納得の表情だった。

 スピードを変えた3種類のシンカー、カットボール、シュート、チェンジアップ、スライダー…。多彩な変化球を器用に操る石川だが、「基本は真っすぐ」が信条。右打者の内角を突けば、外角に逃げる決め球シンカーは効果を増す。荒木チーフ兼投手コーチは「真っすぐがしっかりしていたから、変化球がうまく使えた。今年1番というぐらいのピッチング」と言った。

 9月22日の巨人戦勝利が、7月4日以来80日ぶりだった。苦しんだ2カ月半、直球の切れは課題の1つだった。シーズン開幕前に左ふくらはぎを痛め、満足なランニング量をこなせない時期があった。さまざまな要因が重なり、5年連続の2ケタ勝利を逃したが、シーズン最終登板で直球に力が戻った。

 これでCS第1ステージ中日戦は、館山、村中との3本柱がそろった。石川が繰り返す言葉がある。「いきなり150キロが投げられるわけはない。低めをていねいに突くしかないんです」。不調時も準備を怠らず、愚直に繰り返してきた投球が、結果に結びついてきた。【前田祐輔】