巨人阿部慎之助捕手(33)が現役球界最高年俸の勲章を得る。今日19日、契約更改交渉に臨む主将に球団が5億7000万円(推定)を提示することが18日、分かった。3年契約の3年目となった今季は首位打者、打点王と自身初の個人タイトルも獲得。文句なしの成績を残したことに対し球団から水面下で複数年契約を打診されたとみられるが、あえて単年で更改することが濃厚だ。

 最高の成績の対価は当然、最高になる。関係者の話を総合すると、球団が阿部に1億7000万円アップの5億7000万円を提示する見込みだ。現役で球界最高年俸を用意した。この日、優勝旅行先のハワイから帰国。シーズン終了後、来季契約に関しては「基本的には1発でサインをしようと思っている」と、話しており、今日19日の交渉で更改するのは確実だ。

 打率(3割4分)、打点(104)、得点圏打率(3割5分8厘)など、リーグトップの数字を並べた今季は、チームを3年ぶりの日本一にけん引した。主将、捕手、4番と代わりが利かない大黒柱に、球団側から複数年契約を打診されたが、固辞。「プロというのは基本は1年勝負の世界。毎年、自分の力の全てをグラウンドで出し切る。それが、俺のモットーだから」と、単年契約を申し出る。

 大活躍の年だからこそ、かつて話していた信念を貫く。今オフの表彰式ラッシュで「もう、こんな成績は今後は残せないかもしれない。それぐらい、今年は満足しています」と、口にしてきた。しかし最も恐れているのは、今季の成績が逆に「足かせ」になること。周囲の期待は大きくなる一方で、課せられる役割も、また同様。複数年契約を結べば、安心感からかハングリーさを失ってしまう恐れがある。

 無意識に生まれる慢心をかき消すために、あえて単年契約を選択する。好成績を残した翌年は、厳しいシーズンになることが多いのも事実。「毎年、前年以上の成績を目標にしてきた。でも、来季はすごく難しいと思う」と、自分超えのために“保証”を排除。「来季の阿部」が「今季の阿部」に勝つための最善策は、単年勝負だ。