幻惑の術-。ソフトバンクのドラフト1位東浜巨投手(22=亜大)が6日、宮崎キャンプで初のフリー打撃に登板した。江川、柳田の2人に45球を投げ安打性は7本。自ら課したテーマは打者と対する感覚のチェックだった。足の上げ方や腕の振りなどで0コンマ数秒のフォームのズレを意識し、打者のタイミングを狂わす頭脳派ぶりを発揮した。

 東浜はプロの打者との“初対戦”を楽しんだ。相手は対戦を熱望されていた亜大の先輩松田ではなかったが江川、柳田に堂々の投げっぷりだった。「もっと緊張してノーコンになると思った」。4割以上ボール球、5球連続ボールとなるシーンもあり、確かに制球はバラけていた。だが本人はケロリ。打者との感覚を確認すること-。明確なテーマをもっていたからだ。

 直球のみの45球。「1軍は甘く入ったら確実に打つ。スイングが強い」とプロの技術を感じつつも、江川への11球目では、バットをへし折りスタンドの観客からどよめきが起こった。江川は「シュート回転してきた。高めの球に伸びがあった」と素材のよさを認めた。

 アマ時代から得意としている、意図的にフォームをずらしてタイミングを合わせにくくする幻惑投法も試した。「打者のタイミングが見たかったので微妙に抜きました。フォームの中で間をつくったり、腕の振りを投げていくときに変えたりしました。自分の感覚です」。

 投げる動作に入る前に「次はこうやってみよう」とイメージすると体が0コンマ数秒、勝手にタイミングがズレて投げられるという。しかも足、腕など意図的にズラす部分も1つじゃない。ボールの軌道で打者を惑わすだけでなく、同じ球種でも変幻自在に体を操って“変化”させられるのだ。柳田の14球目の一塁側へのファウルは、あきらかに柳田が待ちきれず先にスイングさせられた。

 期待の3年目は「腕をゆったり振ってスッと球が来る。合わなかった」と振り返る。見守った高山投手コーチも「僕にはフォームの違いはあんまり分からないけどすごいね。いろいろ考えてやっているんだね」と意識の高さに感心した。

 3連投となる今日7日もブルペン入りの予定。「投げていけば(フォームは)固まってくる。あくまでゆっくり仕上げるつもり」。大物新人の思い描く開幕ローテへの道にズレはない。【石橋隆雄】