みろ、このしなりと反発力!

 由伸フォームで阪神伊藤隼太外野手(23)が2年目の覚醒だ!

 8日のシート打撃で、宜野座球場の右中間席にアピール弾をたたき込んだ。先発候補の鶴から放った進化を感じさせる1発。オフは慶大の先輩、巨人高橋由と自主トレし、フォームを改良。バットも替えたニュー隼太が、激しい外野レギュラー戦争に割って入る。

 漆黒のバットが勢いよく白球をはじく。右翼田上がフェンスによじ登るも、頭上を越えて芝生にズドン。キャンプ地の観衆が隼太の進化を確信し、球場を拍手で包み込んだ。

 伊藤隼

 初球ストレートを待っていて、甘い変化球に反応できたのは収穫です。前回のシートでは結果を出せなかった。アピールしないといけない立場なので、ホッとしています。

 シート打撃の2打席目。鶴の初球、内寄り高めのスライダーを抜群のタイミングでとらえた。軸足の左足にクロスさせるように、昨季よりゆったり大きく右足を上げる。新フォームのモデルは慶大の大先輩、巨人高橋由だ。1年目の昨季は22試合で打率1割4分8厘、1本塁打。オフに弟子入りを志願し、合同自主トレに参加した。「体幹の重要性、足の上げ方を参考にしています」。始動を早くして「間」を長く取る新フォームが完成に近づく。

 直球に差し込まれる姿はもう、ない。1打席目は榎田に2ストライクと追い込まれた後、外角の際どい変化球を2球見逃し、内角高めの直球を強引に振り抜いた。一、二塁間を強烈に抜いた一打を含めて、3打数2安打。「去年は打席の中で動きが少なく、先に追い込まれていた。選球眼はいいのに焦ってボール球を振ってね。今は躍動感があるというか、攻めている。初球のストライクを打ったことに価値がある」。和田監督の評価も上々だ。

 この日使ったアシックス社製の黒バットは33・5インチ、900グラム。長さと重さに変化はないが、中身が違った。昨季は他社製も含めてメイプル素材だったが、黒バットはアッシュ素材。アシックス担当者の阪上忠士氏は「『打感を良くしたい』と要望があった」と説明。一般的にメイプルは硬くて反発力が強く、アッシュは柔らかくボールを乗せるしなりがあると言われる。今回はアッシュの中でも硬い素材を選び、高い反発力としなりの良さを両立させた。欲張りな一品を相棒に、外野戦争に殴り込む。

 伊藤隼

 ライバルは多いけど、周りを意識するより、まずは自分のレベルアップを考えないと。シート、紅白戦、オープン戦と内容より結果を求められる。

 右翼にはFA加入の福留、中堅は俊足堅守の大和が控える。左翼はマートン。壁は高くても、狙うはあくまでレギュラーだけだ。2年目の覚醒へ。立ち止まる暇はない。【佐井陽介】