<オープン戦:広島3-0ヤクルト>◇7日◇マツダスタジアム

 オレが1発で打線を救う!広島ブラッド・エルドレッド内野手(32)がマツダスタジアムでの今季チーム1号を放った。2回、手元で変化する球を捉えて左中間席に運ぶ2号ソロ。ヤクルトの左投手相手に3打数3安打1打点。オープン戦通算打率も4割3分8厘と絶好調だ。大砲が、昨季の打撃不振と決定力不足からチームを救い出す。

 打席では落ち着きと自信にあふれていた。2年目を迎える4番のエルドレッドが、自慢の長打力を見せつけた。2回、先頭打者で赤川の投げた手元で変化する球を捉えた。左中間へ飛んだ当たりは1階席奥の看板に当たり跳ね返った。マツダスタジアムでの今季チーム1号となる先制弾。自然と口元が緩む。

 「いいスイングで、いい本塁打だった。ライナー性の当たりだったし、腕をたたんでいい感じで打つことができた」

 赤川が「シュート」と話す球に、4番は「フォークかチェンジアップかで逃げていくような球だった」と振り返る。いずれにしても手元で変化するクセのある球を完璧に捉えたことに意義があった。

 この試合で3打数3安打1打点。オープン戦6試合でも通算16打数7安打4打点、2本塁打、打率4割3分8厘と、6試合で12得点と打撃不振に苦しむチーム内では群を抜いた成績を残している。

 好調の原因は体調と精神面にあった。昨オフに右肘をクリーニング手術したことで体調面での不安がなくなった。「右肘は打撃にも影響していた。今は力まずにいいスイングができている」と話す。

 昨年6月末にシーズン途中で来日した。2年目を迎えて、とまどいは消えた。広島での生活リズムもつかんでいた。「最初は町のどこに何があるのかも分からなかった。今はそんな心配をする必要がなくなった」と穏やかな表情で話す。

 内野手登録ながら、今季は4番左翼で起用される見込みだ。「いいホームランだった。3安打を打っていい打撃を見せてくれた」と野村監督も全幅の信頼を置いている。昨年は65試合で11本塁打と、不完全燃焼に終わった助っ人が本来の怪力ぶりでチームを救う。【中牟田康】