<オープン戦:阪神4-3ロッテ>◇7日◇甲子園

 阪神福留孝介外野手(35)がロッテとのオープン戦で甲子園初安打となる決勝タイムリーを放った。同点の6回、右中間を破る高速二塁打で勝ち越し点をもぎ取った。役者が次々と出そろう和田阪神はこれで、リーグ制覇した03年以来のオープン戦5戦負けなし。5位からの巻き返しどころか、優勝のにおいがプンプンしてきた。

 弾丸ライナーが右中間へ伸びた。6回、福留がロッテの助っ人右腕ゴンザレスの直球をはじき返した。中堅・岡田が懸命に追うが、届かない。鋭い球足で2年連続ゴールデングラブの牙城を破った。一塁から新井良が一気に生還して、勝ち越した。

 「(安打が)出たというだけ。今は自分の中で、タイミングだったり、いろいろなことをやっている」

 本拠地・甲子園での初ヒットがタイムリー二塁打。結果より、内容を追い求める福留はほとんど顔色を変えなかったが、実戦13打席ぶりにHランプをともした意味は大きい。しかも、それが決勝打。和田阪神は優勝03年以来のオープン戦5戦負けなしで、虎党の期待はいよいよ膨らんできた。

 回帰より、進化-。タテジマに袖を通してから福留は打撃の再構築をスタートさせた。米大リーグ時代より、スタンスを狭くし、グリップの位置を高くした。日本野球への順応。ただ、MVPを獲得した06年の打法そのままかと言えば、そうではない。

 「昔に戻せばいいというものではないから」

 前日、古巣中日と初めて対戦した。9年間ともにプレーした、かつての仲間たちは福留の現状に敏感だった。森野が言った。

 「トップの位置が変わりましたね。そこで悩んでいるようにも見えます」

 本人も認めるように、打撃の状態は万全ではない。ただ、福留の性格を知り尽くす荒木が後を継いだ。

 「でも、あいつは絶対何とかするよ。持っているものがすごいのに、さらに努力するタイプだから」

 この日も練習前に外野でダッシュを繰り返した。フリー打撃ではバスターからのスイングを試みた。福留は新しいものをつくり上げようとしている。それが何なのか、答えが出るのは、もう少し先だろう。それまで周囲は黙って待てばいい。関川打撃コーチは、そう説明した。

 「悪い(状態の)ままでいるようなやつじゃないから。納得いかなければあいつは練習する。だから、黙って見ていればいい」

 新たなスタイルを模索する中で放った本拠地初タイムリー。こんなシーンを何回、虎党に見せることができるのか。福留はそのために進化する。【鈴木忠平】<03年の阪神>

 星野体制2年目。オープン戦初戦の2月23日西武戦(安芸)を3-2で快勝し、3月11日の横浜戦(横浜)まで7連勝。球団では、60年の開幕6連勝を上回り最長となった。10勝5敗で勝率6割6分7厘、12球団中3位に。勢いを得たチームは公式戦でも快進撃を続け、18年ぶりのリーグ優勝を飾った。