<教育リーグ:西武0-2日本ハム>◇8日◇西武第2

 日本ハムのドラフト1位大谷翔平投手(18=花巻東)が、春季教育リーグ西武戦(西武第2)に「3番・指名打者」でスタメン出場し、対外試合初長打となる先制二塁打を含む4打数2安打をマークした。教育リーグでは3日巨人戦に続き、出場2試合連続で決勝打を記録。勝利を呼ぶ男は、対左腕や、長時間移動による身体的疲労など2つの難関を軽々クリア。10日の教育リーグ、ヤクルト戦(鎌ケ谷)で投手デビューを果たす。

 大谷が2つの難関を、軽々とクリアした。1つは、対左腕。1回1死二塁でまわってきた第1打席。カウント2ボール2ストライクと追い込まれてからの5球目だった。武隈の136キロ直球にバットを合わせた。「スライダーを狙っていたけど、しっかり真っすぐに対応できて良かった」。逆らわずに左翼線へ流し打ち、これが対外試合初の長打に。6回の第3打席では宮田の真ん中低めのスライダーを引っかけながらも一塁内野安打。一、三塁とチャンスを広げ、続く4番石川の犠飛へつなげた。

 この日は対戦した3投手のうち2人が左腕。左打者は不利とされるが「(左腕は)好きじゃないけど、嫌ではない」と言い切れるほど、「打者・大谷」の状態は充実している。春季教育リーグでは、3日巨人戦に続いて2戦連続でマルチ安打&V打を放ち打率5割に。報告を受けた栗山監督が「(相手が)右だとか左だとか言う段階は終わっている」と力量を認めるほど、打者としては1軍レベルにある。

 試合前に、もう1つの難関を突破していた。チームバスが渋滞に巻き込まれ球場到着が大幅に遅れた。さらに投球練習も重なったため、大谷だけ試合前練習でのフリー打撃を回避。2時間40分にわたる移動で全身が硬くなっていたが、試合前までに状態をリセット。「ピッチングをした後は体も言うことをきくようになりました」と、初登板予定の10日ヤクルト戦へ備えて投手としての調整を優先したことが奏功したようだ。

 練習前には花巻東へ進学する決め手となった憧れの存在、高校の先輩の菊池へあいさつへ駆け寄った。「話の内容ですか?

 マスコミのことなので、あまり…。大変だな、とか」と言葉を濁したが、久々の再会に笑みがこぼれた。「投手としては実戦で投げていないので、どこまで出来るか分からない。でも、打者としては投手の球に慣れてきて、すごくいいと思います」。いよいよ、次戦の教育リーグで投手デビュー。今度は「投手・大谷」が脚光を浴びる番だ。【中島宙恵】