<オープン戦:オリックス1-0巨人>◇9日◇京セラドーム大阪

 巨人の高卒2年目左腕、今村信貴投手(18)が度胸満点の投球で、開幕1軍へ名乗りを上げた。9日のオリックスとのオープン戦で8回1死満塁の窮地から登板。91キロのスローカーブを駆使しながら、パ・リーグを代表する左打者の坂口、T-岡田を封じ込んで無失点で切り抜けた。原監督の戦力構想にも今村の名前が貴重なセットアッパー左腕として刻み込まれた。

 足が震えていた。今村が急きょ登板を告げられた。8回1死満塁。「しびれました。足はブルブルでしたよ」の言葉とは裏腹に度胸満点の投球を披露した。3番坂口への初球は大きく弧を描く91キロのカーブでストライク先行。1ボール2ストライクと追い込んだ5球目は捕手のサインに首を振り116キロのスライダーで空振り三振に仕留めた。2死とすると、続く4番T-岡田は137キロの直球で差し込み左飛に切り捨てた。

 本来はリードしていれば9回に登板する予定だった。だが、3番手の野間口が安打と死球でピンチを招き「いきなり言われたので…。5球で肩を作りました」と、前倒しで出番が訪れた。ただ、頭の中は冷静そのもの。「カーブから入ったのは、もしもボールになっても2球目にストレートでストライクを取る自信があった」と、芽生え始めた自信も投球を後押しした。

 沖縄2次キャンプからプロ初の1軍に昇格。2月21日のヤクルトとの練習試合では1安打3四球で2失点と精彩を欠いた。「四球が一番ダメ。今は打たれてもいいから、しっかりと自分のボールを投げなければ」と、弱気だった自分自身を一喝。同28日の日本代表との強化試合では2死二、三塁で登板し、角中を2球で三ゴロに仕留めてみせた。

 1軍帯同最年少の2年目左腕が左の好打者を次々と倒し、猛アピールに成功した。高木京は先発として調整し、辻内は故障、阿南には大きく差をつけた。原監督も「左のセットアッパーという重要な役割を占める位置で彼がそこで投げられれば非常に楽しみになる」と、うなずいた。大ピンチで抑えた今村に大チャンスが到来している。【為田聡史】