<広島7-1中日>◇28日◇マツダスタジアム

 スコア以上の完敗ムードがベンチに充満した。先発の中日山内壮馬投手(27)が序盤に大量失点。前日は当たった4番ルナらの新打線も2日と続かず、9回藤井の犠飛で完封負け阻止が精いっぱいだった。最下位で借金は最多タイの5。チーム状態が上がる気配はない。今が辛抱の時かと問われた高木守道監督(71)は苦笑いで逆に質問した。「何かいい方法はないかね?」。だが序盤で勝敗が決まった展開で、監督自身が“次”を見据えた采配に切り替えていた。

 「あるよ、それは」。今日29日からの巨人3連戦で、森野将彦内野手(34)をスタメン二塁で起用する可能性を明言した。5試合17打席1安打と不振で、3回には送球ミスも犯した荒木を5回で交代。その時、森野を一塁から二塁に回した。これが巨人戦への布石。二塁は今季3度目だった、いよいよ、08年7月28日の阪神戦(甲子園)以来5年ぶりの先発二塁で起用しようというものだ。

 「荒木の打撃もよくなったと思ったけど戻ってこん。森野は二塁を経験しとるし普通の球は取れる」。全試合先発の荒木を下げ、さらに打線をテコ入れする。初戦先発の右腕宮国攻略へ、一塁は左のクラークか中田亮を配置。打撃重視の攻撃型布陣で臨む。圧倒的強さで首位を走る巨人戦は今季3戦全敗。今回も軍門に下れば借金&最下位地獄にハマる。シーズン序盤の正念場での切り札が二塁森野だった。

 温存作戦として井端も谷繁も3打席で交代。9回には和田への代走として足の速くない小田まで送った。「巨人戦はしゃかりきになってやらないかん。状態はよくないけど、投手が頑張って強力打線を抑えて、打線がどれだけ頑張るか。それしかない!」。総力を挙げたG倒で浮上への弾みをつけたい。守道節の締めは力強かった。【松井清員】