<楽天4-1日本ハム>◇1日◇Kスタ宮城

 監督の夢に出た謎の投手は…マー君だった。楽天田中将大投手(24)が日本ハム打線を8回5安打1失点に抑え、リーグ単独トップとなる4勝目を挙げた。1回に先制点を許すも、2回以降は貫禄の投球だった。昨季からの連勝を自己ベストの8に伸ばし、チームの連敗を2で止め最下位脱出に貢献。実は前夜、星野監督は正体不明の右腕が快投する夢を見ていた。縁起がいい夢といえば「一富士二タカ三ナスビ」だが、星野監督にとっては、世界文化遺産に選ばれた富士山よりもマー君だよね。

 誰だ?

 誰なんだ?

 あいつは…。この日の朝、仙台市内の自宅で目を覚ました星野監督は、不思議な感覚に襲われた。「誰か分からん。良いピッチャーが投げとった。右だ。ずばずば抑えてくれた」。球場入りすると、やや自嘲気味に明かした。「初めてだ。野球の夢を見るなんて」。ここまでのチーム防御率4・83は12球団最低。同率最下位に沈む最大の原因は、ままならない投手陣だった。

 求む、救世主!

 験かつぎはしないし、神仏にも頼らない星野監督だが、心に潜む願望が、とうとう夢となって表れたのかもしれない。願いに応えたのは、やはりエース田中だった。

 そのマー君。1回は4連打を許し1点先制された。“逆夢”か…?

 いやいや、本領発揮は2回から。「(1回は)考えすぎました。フォームのこととか。(2回以降は)テンポよく。打者にエネルギーを注げました」と邪念を振り払うと、39球を要した1回とは別人になった。2回からは0を続け、8回5安打1失点で無傷の4連勝を飾った。

 星野監督には2回以降が“正夢”だったが、引き出したのは他ならぬ監督自身だ。「途中で言った。もっと高めを使えと」。球威ある高め直球で打者の目線を上げ、落ちるスプリットで空を切らす。今季初めて2ケタ10三振を奪ったが、うち4つがスプリットの空振り。田中本人は「(高低の攻めが)有効だったか分かりませんが、どの球種も良かった」。開幕からいまひとつだった球の強さが戻ってきたのは間違いない。

 野村元監督には「神の子」と評されたが、星野監督には日本一の富士山よりも「縁起の良い子」になった。「簡単に1点をあげてしまった」と反省も忘れない。次は、もっと縁起良く、9つの0を並べたい。【古川真弥】

 ▼楽天田中がリーグ単独トップの4勝目。開幕から無傷の4連勝は09年(7連勝)に次いで2度目で、昨年8月26日日本ハム戦から8連勝。これまで田中の連勝は、シーズンをまたいだケースも含めて09年の7連勝が最多で、8連勝は自身初めて。この日は同じ88年生まれの吉川と3年ぶりの先発対決。田中が「88年組」と先発で投げ合うのは10度目だが、結果は9勝0敗とまだ負けていない。