<楽天1-13日本ハム>◇3日◇Kスタ宮城

 統一球おかまいなしのパワーを見せつけた。日本ハム中田翔内野手(24)が、自身初の1試合3本塁打を含む4安打5打点。統一球導入後の11年以降、日本人選手では初めての1試合3発に、敵地ファンも大歓声で応えた。25打点でリーグトップに並び、8本塁打は2位タイ。2日連続猛打賞の4番の活躍で、チームは今季初の3カード連続勝ち越し。弾みをつけて今日4日から首位西武との敵地3連戦に臨む。

 爽快で、鮮烈な一撃が、1度、2度、3度…仙台の青空を切り裂いた。やっぱり、中田には本塁打がよく似合う。ゴールデンウイーク後半の初日。打球が外野フェンスを越えるたびに、左翼席を埋めた敵地ファンまでもが大歓声で背番号6を迎えた。「最初はヤジられているのかと思った」。本人が勘違いするのも無理はないほど、不思議な光景。日本人離れした破格のスイングが、敵味方関係なく約2万人のファンを魅了した証しだった。

 1回の第1打席で13日ぶりとなる先制3ランを放つと、止まらなくなった。3回の第2打席は「完璧」と、自画自賛の弾丸ライナーをバックスクリーン左へ突き刺し2打席連続本塁打。仕上げは7回、ダメ押しの8号ソロを春風とともに左翼席へ運び「チームが勝ったので余計に気持ちいい」。6年目で初となった1試合3発に、気分爽快の“中田スマイル”を見せた。

 統一球が導入された11年以降、1試合3本塁打した日本人選手は中田しかいない。両リーグとも昨季に比べ本塁打数は増加傾向にあるが「ボールが飛ぶようになったと言う人はいるけど、俺はそうは感じない。慣れじゃないかな」と分析する。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に野手最年少で出場。中南米や欧州の代表相手に「確かに体は大きいなって思ったけど、そんなに打球がすごいとは思わなかった」と平然と言ってのけ、「日本の統一球より飛ばなかった」というWBC公式球にも、しっかりと対応した。体格こそ劣っても、外国人選手に引けを取らないパワーとスイングスピードを誇るだけに、ボールの弊害など大した問題ではないのだ。

 8本塁打はリーグトップの同僚アブレイユに1本差と迫る2位。25打点は、リーグトップに並んだ。2日連続の猛打賞(今季4度目)で、規定打席到達シーズンでは昨季の2割3分9厘が最高だった打率も3割3分3厘で5位に浮上した。数字については「まったく考えていない。それよりチームが勝つことに集中しているから」と素っ気ない口ぶりだったが、それも4番としての責任感から発した言葉。チームを今季初の3カード連続勝ち越しに導いた若き和製大砲は、まだまだ進化の途中にいる。