<巨人6-2広島>◇4日◇東京ドーム

 今日5日は長嶋茂雄氏(77)と松井秀喜氏(38)の国民栄誉賞の表彰式が東京ドームで行われる歴史的な1日。「国民的行事」の前夜祭は、巨人長野久義外野手(28)が演出。2回2死満塁から右越えに、11年10月以来の満塁弾を放ち、この回6得点のビッグイニングと、チームの4連勝を呼び込んだ。ジャイアンツの未来を担うチョ~ノさんの祝砲で、偉大な先輩2人を迎える準備は整った。

 長嶋氏が満面の笑みを浮かべるライト方向へ、長野が1発を運んだ。2回無死満塁から村田、脇谷が連続三振。菅野がプロ初適時打で流れを取り戻し、長野が打席に立った。「智之(菅野)が先に打ってくれて、楽な気持ちで入れた」。広島中崎の外角直球を押し込んだ。その押し込みが特有の右方向への打球の伸びを生み、グランドスラムが完成。長嶋氏のセコムの看板下にいるオレンジ一色の巨党ファンが酔いしれた。

 「シーズンがスタートして全然、打っていなかったので何とか打ちたかった」。好調なチームにあって、打率は2割台前半。なかなか波に乗れなかった。前日3日は3度の得点機で凡退。サヨナラ打の脇谷のヒーローインタビューがまだ続いている中だった。劇的勝利の余韻にも浸らず、ブルペンに一目散に入り、打撃練習を敢行する姿があった。何とか感覚を取り戻そうと、もがいていた。

 きっかけを探していた。先月下旬のヤクルト戦で仲のいいバレンティンからバットをもらった。880グラムと軽く、先端がくりぬかれているタイプ。練習の中で使ったが、いつもと違う感覚の中に、不振脱出の糸口を追い求めていた。

 今日5日に長嶋氏、松井氏という2人の偉大な先輩が国民栄誉賞の表彰という晴れ舞台に立つ。世代も違い、接点は多くない。だが、その活躍は長野の心にも確かに刻まれている。「松井さんの日本での最後の50号と、ヤンキースでのメジャー1号の満塁弾は、記憶がすごく残っている」と色あせることはない。

 史上初めて野球場で行われる国民栄誉賞の表彰式。原監督は胸を躍らせ、使命感も感じている。「本当にファンのみなさまも大変、楽しみにしている。いつもと違った、いいムードの中で野球ができる。それにふさわしいゲームがしたい」。長野も言葉を絞り出した。「僕なんかがコメントできることではないけど、大事な試合」。歴史的シーンに立ち会う重みを感じ、勝利を祝祭にささげる。【広重竜太郎】