阪神和田豊監督(50)が16日、ウエスタンリーグ・オリックス戦(鳴尾浜)を直接視察した。チームは休養日だったが、指揮官は積極的に動いた。関本の出場選手登録抹消を決断したため、DH候補も含めた、代わりの野手を自ら見定めることが狙いだった。

 「関本を抹消するんで。右がほしいところ。新しい選手を持ってくるのか。今いる中から使うのか」

 そんな指揮官の前で輝きを放ったのが3年目・中谷将大外野手(20)だった。2回に二塁打、4回に三塁打と2安打を放った。また、この日は無安打だったものの、野手転向2年目の一二三慎太外野手(20)も候補の1人だろう。2軍戦では31試合に出場して、2割6分4厘、1本塁打、6打点。指揮官は「打つ方では数字を残している」と一定の評価を与えた。

 きょう17日からのソフトバンク2連戦はDHのない本拠地のため、すぐに昇格するかは微妙な状況だが、DH制が採用され、野手の枠が広がる交流戦中に、チャンスが訪れてもおかしくはない。

 6連勝で突入した交流戦はオリックスにまさかの連敗発進。開幕から5連敗した昨季の悪夢がよぎった。あらためて2連戦の怖さを知った。カード初戦を勝つことの重要性を再認識し、あらためて先手必勝の誓いで臨む。そのために若い力を投入する可能性はありそうだ。

 「どこのチームもわからないことが多い。全チームに対して、同じ気持ちで入っていく」

 重要なカード初戦、左腕帆足との対戦を前に、和田監督は自らに言い聞かせるように、気合を入れた。

 「2つやられただけやないか。よし、いこう!」

 前日の敗戦後、険しかった表情は笑顔に変わっていた。和田阪神の再出発だ。【鈴木忠平】