日本ハム大谷翔平投手(18)が1試合で投手と打者を務める正真正銘の二刀流デビューする可能性が28日、浮上した。広島戦(マツダスタジアム)は降雨中止となり、6月17~20日の予備日へ延期。栗山英樹監督(52)は延期となった試合で「5番・投手・大谷」が実現する可能性を示唆した。今季は指名打者制がないセ・リーグ本拠地では投手起用の計画はなかったが、夢の舞台が整いそうだ。

 広島戦の中止が決まると、栗山監督が仰天プランを披露した。1試合の中で、大谷を投手と打者として起用する可能性が出てきたことを明かした。6月17日から4日間の予備日が、次なる二刀流の「Xデー」になると示唆。打席にも入るセ本拠地での起用が、現実味を帯びてきた。栗山監督は「可能性はあるよ。ゼロじゃない。野球の神様かな。いい選手って、そういう流れになるよね」と、見通しを語った。

 今季は凍結していた、夢プランが見られそうだ。次回先発登板は6月1日の中日戦(札幌ドーム)に内定。今回の交流戦では、セ本拠地の試合で投手起用する計画はなかった。2試合に先発させた後は肉体的な負担を考慮して1度、登板間隔を空けてリセットし、野手重視でいくという方針を固めていた。ただ、広島戦が降雨中止で方向転換。当初は想定していなかった先発ローテの“谷間”となり、その有力候補に大谷が浮上した。

 打者としての能力を買って抜てきする構想も温めていた。規定打席に到達していないが、打率3割2分6厘。栗山監督は「5番・投手とかもあるかもしれないね」とリップサービスも交えて話した。投手は通例なら下位打線起用。だが、打者としても戦力としてフル活用することを視野に入れ、「二刀流」への本気度を示すプランを練っていくことになる。

 オープン戦では1度、試運転している。3月21日の楽天戦で、投手としては8回からマウンドに上がり、最速157キロの直球を披露し1回1安打無失点。打っては3番に入り、強烈な一ゴロを放ち、9回からは右翼の守備にも就いた。

 この日、キャッチボールなどで調整した大谷は「(投手として)打席に立ったり、塁に出たりするのは難しいと思うけれど、やりながら勉強していきたい」と、前向きそのものだった。マルチ安打の開幕戦に最速157キロの先発デビュー、阪神藤浪との初対決…、そして高校球児のようについに投げて、打つ-。二刀流ならではの、胸躍る一面を見せてくれそうだ。【高山通史】

 ◆交流戦日程メモ

 初めから予備日を設けていないカードが中止になったケースは予定終了後の共通予備日、今年は6月17~20日に組まれる。現時点で共通予備日に組まれるのは、この日中止の広島-日本ハム戦だけ。ただし、日本ハムは6月2、3日の旭川、広島もマツダスタジアムの試合が中止になる可能性があるため、この試合が17~20日のどこに組まれるかは未定。

 ◆二刀流打順メモ

 二刀流に挑戦した71年外山義明(ヤクルト)は投手として15試合に先発。先発投手を務めた時の打順は9番が最多の12試合で、残りは8番が2試合、8月22日大洋戦では1番投手で出場した。68年永淵洋三(近鉄)は投手で先発したのが5月28日東京戦の1試合だけで、この時は7番。規定投球回と規定打席の両方をクリアした46年野口二郎(阪急)はクリーンアップを打っている。8~10月にマークした31試合連続安打中に4番投手で5試合、3番投手で2試合先発している。