<中日1-3ロッテ>◇29日◇ナゴヤドーム

 中日高木守道監督(71)が荒木雅博内野手(35)のレギュラー剥奪を明言した。ロッテから1点しか奪えず、両リーグ最速の30敗。高木監督は元気がない打線に触れ「50試合過ぎたし、どうのこうのベテランも言っとれん」と不振が続く荒木に代えて堂上直倫内野手(24)に二塁を任せる考えを示した。日本一と4度のリーグ優勝を支えたベテランの一角に施す禁断の守道メスだ。2桁借金目前、荒療治で巻き返しはなるか。

 ロッテから1点しか奪えず、両リーグ最速の30敗、そして2桁借金王手。それでも高木監督の口調は穏やかだった。だがその内容は実に厳しいものだった。

 高木監督

 今日は荒木を外したけど北海道から(人を)変えようと思っている。50試合過ぎて開幕から2カ月もたった。どうのこうのベテランも言っとれん。

 不振が続く荒木のレギュラーを、31日の日本ハム戦(札幌ドーム)から剥奪する。打率は2割1分3厘。我慢は開幕50試合と区切っていたようで、思い切った決断を明かした。

 開幕からの借金生活は投手陣の崩壊が大きいが、つながりを欠く打線も課題だった。特に1勝7敗のこの8試合は平均2・5得点。原因の1つが、4割打者の4番ルナの前に走者が置けないことと指摘した。

 高木監督

 1、2番が出んことには(得点の)パターンができない。特に大島がよくない。でも彼は将来のドラゴンズをリードしていく選手。だから代えん。

 大島はこの日も無安打で、交流戦12試合でわずか7安打。打率を2割5分7厘まで下げた。だが将来の竜を引っ張る男として使い続ける。そこで本来の「2番荒木」にメスを入れる道を選択した。現在打率2割1分3厘と振るわず、2度目の先発落ちとなったこの日、今季初めて最後まで出番はなかった。そして監督は長らく荒木で不動だった二塁を堂上直に任せることを決めた。

 高木監督

 控えがあれだけのベテランをすぐに超えるのは難しい。でもやっていかんことには。若い人を使って行こうと思っている。何もせんのも能がないと言われる。直倫は打法を変えて上がってきている。チャンスをあげたいし、出すからには我慢せなあかん。

 札幌から荒木がベンチに座り、堂上直が二塁を守る。荒木にもまだ定位置奪回のチャンスはあるが、日本一と4度のリーグ優勝を支えてきた男へのメスは衝撃的だ。主力の高齢化が進む一方で、潤滑ではない世代交代はチームの大きな課題。監督は昨年のドラ1高橋周も昇格候補に挙げ、若手とベテランをミックスしながら勝つ道に切り替えようとしている。残り93試合。大逆襲へ、1つのターニングポイントとなる決断と言えそうだ。【松井清員】