「暫定」の肩書はいらない。ソフトバンク岩崎翔投手(23)が正守護神のポジションを奪い取る。出場選手登録を抹消されたファルケンボーグに代わり、29日巨人戦(東京ドーム)でプロ初セーブをマーク。一夜明けた30日、高山投手コーチが岩崎を抑えに据え置くプランを明かし、岩崎も意欲を示した。「新・8回の男」千賀滉大投手(20)と、若き速球派2人が勝ち試合を締めくくる。

 初セーブから一夜明けた岩崎は、福岡に向かう羽田空港で充実した表情だった。千賀と2人で温かいうどんをすすりながら、前夜のマウンドを振り返った。

 「抑えはやっぱりやりがいがある。オープン戦でやった時もすごく緊張した。失敗が許されないポジションですから」。正守護神のファルケンボーグが右背筋痛で戦線離脱。岩崎は暫定的にストッパーに指名され、最終回を打者3人でぴしゃりと抑えた。

 交流戦7戦連続無失点の右腕に、高山投手コーチは期待を込めてゲキを飛ばした。「(今の位置を)変える必要がなければ変えない。岩崎には、それくらいの気持ちでやってほしい」。ファルケンボーグが戦列復帰しても、抑えのまま固定させる考えを明かした。当然ながら、今後の結果と内容が伴えば、の話だ。

 岩崎は春季キャンプでは先発の可能性もあったが、リリーフに配置。以降の目標は守護神だった。せっかく得た今のイスを、簡単に手放したくない。シーズン最後まで継続したいかと聞かれ「もちろん。それくらいのつもりで結果を残したい」と居座る意気込みを示した。

 ファルケンボーグの復帰には多くの時間を要さない見込みだが、昨年は3度登録抹消されたように、首脳陣にとっては計算が立ちにくいのが悩みの種。高山コーチは「常にブルペンにいるのが抑えだと思う」と話し、岩崎の成長に期待した。「やることは変わらない」という千賀から、9回の岩崎につなぐ新勝利の方程式が、今後は数多く見られそうだ。【大池和幸】