<日本ハム7-3中日>◇1日◇札幌ドーム

 1つの区切りを迎えたところで、投手と野手の“二刀流”挑戦の難しさをあらためて実感した。投手としてプロ初勝利を挙げた高卒ルーキーの姿に、日本ハム栗山英樹監督(52)は「今日ぐらい笑ってもいいのかな?

 と思います。正直、本当にうれしかった」と、顔をくしゃくしゃにして喜んだ。だが、それも一瞬だ。「勝った瞬間に、これからの(二刀流選手育成の)難しさを感じた」と、険しい表情に変わった。

 プロ2度目のマウンドに立つ大谷翔平投手は、体のバランスを欠いているように指揮官の目には映った。「今までの中で一番悪かった。思い切り投げても、ストライクが入らない」。4回、3点目を許したところで「代えようと思った」が、思い直した。「変化球を投げたり、間をあけたりと工夫はしていた。あれだけ状態が悪い中で、よく5回まで我慢できた」。苦心しながらも前進しようともがく18歳に、胸を震わせた。

 前回登板から中8日。通常の先発投手なら、十分な間隔だろう。だが、登板日の間に野手として出場している“二刀流”の大谷は、違う。登板に備えて体を整える時間が、限られてくる。「体の状態を見ると、もうちょっと登板間隔をあけた方がいいのかな?

 もしくは、野手としての出場機会を減らすのか…。これまでの調整法を変えるつもりはないけど、もう1度、丁寧に探ってみないといけない」。次回は2週間以上の間隔をあけて17日以降に組み込まれる予定の広島戦(マツダ)に登板させるプランもあるが、万全の状態でマウンドへ送るためにも、何らかの微調整が必要だと感じたようだ。

 未知の領域に挑戦しているからこそ、何度も繰り返す試行錯誤。プロ初勝利の喜びに沸き立つ陰で、慎重に“二刀流”選手の未来が検討されている。【中島宙恵】

 ◆投手大谷の調整

 キャンプ中は1クールに1度の割合でブルペン入り。100球を超える投げ込みを禁止して、制限をかけてきた。3月10日教育リーグ・ヤクルト戦で実戦初登板。開幕後は野手として1軍に同行しながら、登板のたびに2軍に移動して投げてきた。その間のブルペン投球は2度ほど。5月23日の1軍デビューからは、1、2軍の行き来はなくなった。今回の登板までは中8日の間隔。合間に、野手として2試合に出場した。現状、登板前日、翌日の出場は、見送る方針で進んでいる。