<日本ハム2-11楽天>◇1日◇札幌ドーム

 マー君が投げれば、打つ、そして勝つ!

 楽天田中将大投手(24)が、6回7安打2失点に抑え、開幕23連勝を決めた。本調子ではなかったものの、大量11得点の援護に助けられた。9月26日にリーグ優勝を決めてから前日30日まで、チームは2敗1分け。打線は3試合連続、32イニング無得点だったが、一気に活気づいた。さあ、優勝ボケを吹き飛ばし、クライマックスシリーズ(CS)へ向けて再出発だ。

 田中が、球威も、コントロールも抜群の1球を投じた。逆転した直後の3回裏。無死一、二塁とピンチを招く。「調子が良くない中でも我慢強く投げることを意識しました」。日本ハム小谷野への7球目、149キロのシュートが内角低めをえぐる。併殺打の欲しかった場面で、ゴロで詰まらせ、併殺を完成させた。追い上げようとする相手の流れを完全に断ち切った。

 序盤は苦しんだ。1回、2回に続けて失点。ただ、与えた点は1点ずつ。大量点を与えず踏ん張った。その姿に打線も引っ張られたかのようだった。1回に33イニングぶりに得点すると、3回にジョーンズの適時二塁打などで一挙6得点。11得点の援護に田中は「いつも勝たせてもらってるので、みんなに感謝です」と喜んだ。3試合連続無得点だった打線が、エースの力投とともにやっと目覚めた。

 それも、田中がやるべきことをやったからだった。点をもらった直後に失点しない。勝てる投手にとっては当然のこと。それを田中は徹底してきた。口癖のように繰り返す言葉が、マウンドでの信条を物語っている。登板前、投球で心掛けることについて報道陣から問われたとき、必ず返す言葉が「やるべきことをやるだけ。自分のできる投球をするだけです」。揺るがないスタイルだ。

 今季、その意識を改めて痛感させられるシーンがあった。開幕から無敗を続けるが、チームが唯一負けた試合がある。4月16日のソフトバンク戦だ。田中が6回1死から一ゴロでベースカバーに入らず、内野安打とした。これが失点につながった。「やるべきことができなかった」。5カ月以上たった今でも、チームメートに悔しさを漏らすという。中継ぎの小山伸は「あの時のこと、ずっと言ってますよ。すごく悔しがってます」と証言する。反省をその時だけで終わらせない。ずっと心に刻み続けるから、同じ過ちは犯さない。

 だから、優勝しても、チームが3試合連続無得点だったとしても、やるべきことは同じだった。「いつもと同じ試合の意識でマウンドに上がりました」と、4回以降は立ち直った。大量援護に守られ、6回2失点でお役御免となった。17日からは本拠地でCSファイナルステージも始まる。「どっしりとして、仙台でまたいいゲームをしたい」。息を吹き返したチームとともに、日本一への道を進む。【斎藤庸裕】

 ◆投手の連勝記録

 連勝が止まるのは敗戦投手になった時だけ。途中に勝敗のつかない試合やリリーフでセーブを挙げた試合が入っても記録は継続される。