驚いたのは試合前だ。前川右京が1軍登録されたのである。前日、当欄で彼の復帰を待ちたいと書いた。1日のファーム西地区の広島戦(SGL)で大瀬良大地から本塁打をマーク。左翼手が定まらない中で打力に期待のかかる前川の復帰を期待したからだ。
そうは言っても次のDeNA戦(横浜)、いや週末の京セラドーム大阪、中日戦あたりかと思っていた。それがいきなりの合流である。前川に期待する気持ちは阪神ベンチも同じだったということだろう。
だが、その決断が厳しい光景を生んでしまうとは。阪神が2点リードしていた4回裏にそれは起こった。2死二塁から代打・西村瑠伊斗の打球は左翼へ上がった。ピンチ脱出! そう思った瞬間、前川が打球をグラブに当てて落としてしまう。まさかの適時失策だ。
これでがっくりきたワケではないだろうが先発・下村海翔は続く打者にも連打を許し、2点を追いつかれてしまった。下村は5回で降板。この日も白星はつかなかったのである。
前川は1回にも得点にこそ結びつかなかったものの悪送球による失策を記録していた。ケガの影響もあるのだろうか。それでも出場している以上、外野手が4回までに2失策では言い訳できない。猛省から今後の精進が必要だ。
首位の阪神だが、やはり6番問題は残る。安定の1、2番からクリーンアップが最大の強み。そこに6番打者がつながれば、さらに安定するはずだ。立石、福島圭音、あるいはガルシアといるが、やはり経験のある前川が候補なのは否定できない。ゾーンに入っている気配の坂本誠志郎がこのまま打ちまくってくれるなら坂本の6番もあり得るだろうが捕手は代わる。
前川は守備がウィークポイントだ。「右肩甲骨骨折」での登録抹消で、その部分はさらに練習が足りなくなったのかもしれない。元々、得意でないところに早い復帰はきつかったか。言い訳にはならないが。
「これでダメなら、ダメですよね、もう」。今季ファームに行き、戻ってきたタイミングで前川と話したとき、そう言った。この日の試合後も虎番記者の取材に「申し訳ない」と繰り返していた。そんなに悲そう感を漂わせなくても…と思うけれど、それがプロの世界なのだろう。来季はDH制も導入される。チームが勝てたのは幸い。打って汚名返上するしかない。(敬称略)




