<ヤクルト2-3阪神>◇4日◇神宮

 5番、ライト桧山-。阪神桧山進次郎外野手(44)がきょう5日の巨人戦で引退試合に臨む。甲子園の今季最終戦に、代打の神様は5番右翼でスタメン出場することが濃厚だ。宮本の引退試合だったヤクルト戦は、延長10回1死満塁に代打で空振り三振。東洋大時代から親しんだ神宮に別れを告げた。きょうは、22年間の思い出がつまった聖地でめいっぱい暴れる。

 代打・桧山のコールに“第2の故郷”とも言える神宮が沸いた。延長10回1死満塁、最高の場面で登場した。遊撃には同じ時代を戦った宮本がいた。ヤクルトの偉大なるリーダーの引退試合に華を添えた。

 勝敗を分ける場面でマウンドにそびえ立つバーネットと真っ向勝負。速球、カットボール、速球、速球…。最速154キロの剛球に必死で食らいついた。だが、最後はカットボールにバットが空を斬った。

 「最高の声援、うれしかったけどそれに応えるには打ちたかった。内野も前進していたし、バットに当てれば何とかなると思ったけどバットにすら当たらんかった…」

 桧山は悔しそうに振り返った。だが、東洋大時代の主戦場だった神宮のファンからもらった声援は深く心に刻まれたようだ。東都大学リーグ、通算76試合で打率3割1分8厘、13本塁打。ベストナインに3回輝いた。プロへの扉を開いてくれた、まさに青春の舞台だった。

 「ここから応援する立場になるし、きちんと勉強して神宮に帰ってきたい」

 選手として神宮に別れを告げた桧山は、きょう5日、東京から甲子園に戻ってライバル巨人と戦う。本拠地最終戦は自身の引退試合だ。2位を確定させたチームは桧山を「5番右翼」でスタメン起用する方針だ。すでにチケットは完売している。超満員の甲子園で、宿命のライバルと戦う。これ以上ない舞台が整った。

 「順位が確定して、チームに迷惑をかけない形で、唯一、自分が楽しくできるというか…。楽しみながら、かつ、1球、1球、ワンプレー、ワンプレーをしみじみ感じながらやれれば」

 ずっと、こだわってきた甲子園の右翼が桧山を待っている。この日、引退セレモニーで宮本が語ったように、重圧から解放され、純粋に野球を楽しめる1試合が待っている。

 「きょうも(宮本)慎也と話していたんだけど、練習終わった後もずっと(セレモニーで)話すことを考えていたって言っていた。お互いにいい感じで、ファンにメッセージを伝えられたらいいと思う」

 桧山は、宮本の引退セレモニーに浸る神宮を背にした。きょう桧山が何を語るのか。甲子園が、虎党がその瞬間を待っている。

 【鈴木忠平】

 ▼桧山の先発出場は、12年5月27日西武戦(甲子園)での「5番・右翼」以来。今季の出場56試合は、すべて代打。