<中日6-5DeNA>◇17日◇ナゴヤドーム

 逆転サヨナラの瞬間、中日谷繁元信兼任監督(43)が万歳してベンチを飛び出した。ヒーロー平田良介外野手(26)をもみくちゃにする輪で、みんなと大はしゃぎした。「すみません。サヨナラになった時、監督のことを忘れていました。本当はコーチと握手しないといけなかった。でもそれぐらいうれしかったので」。目は心なしかウルウル。兼任初の劇的うっちゃりに指揮官が一番興奮していた。

 決めたのは自身が任せた新4番だった。1点を追う9回1死三塁から、ルナが同点二塁打。続く平田がソーサの変化球に食らいつき、右前に運んだ。「最高の気分です。自分が決めてやるんだと打席に立ちました」。谷繁兼任監督も「いい集中力を持って1球もムダにせず毎打席やってくれています」。

 苦しんでつかんだ勝利だからこそ喜びが倍増した。「初回に憲伸が4点を取られて自分も2回に三振して…」(谷繁兼任監督)。2回1死三塁の好機で監督自ら三振。責任を感じるほど、敗色濃厚な展開になった。だが「誰もあきらめていなかった」と平田が言う通り、4点差を追い付き、たくましく大逆転を演じ切った。

 3連勝でナゴヤドームは7連勝。開幕を含めた4度目の挑戦で、ついに勝率5割の壁を破り、2年ぶりに貯金を刻んだ。

 谷繁兼任監督

 我に帰って思ったけど監督が輪の中に入ったなんて前代未聞でしょ?

 以後気をつけます。

 爆笑の会見締め。今日からの巨人戦へ最高の弾みがついた。【松井清員】