<中日2-1阪神>◇8日◇ナゴヤドーム
中日が今季2度目のサヨナラ勝ちで6カードぶりのカード勝ち越しを決めた。同点の9回2死満塁で荒木雅博内野手(36)が三遊間を破った。阪神和田監督はマウンドに向かって投手加藤を激励。直後の初球をたたいてケリをつけた。2年目19歳浜田のプロ初完封初勝利の翌日に、ベテラン荒木が劇勝を呼ぶ。ようやくつかみそうな上昇気流に乗って、今日9日は広島に乗り込む。
殊勲打のヒーローはナインから逃げるのに必死だった。荒木は打球が三遊間を抜けると同時に右手を高く突き上げて喜びを表現した。ベンチから飛び出した同僚にもみくちゃにされ、ついに観念。あおむけになり放心状態だ。「最後にミスがいろいろと出たので僕が決めればと思った。ほんと必死だった。久しぶりの感覚ですね」。身体に残る疲労感が気持ちよかった。
ベテランらしい読みだった。打席に入る前に阪神和田監督がマウンドの左腕加藤のもとに歩み寄っていた。その様子をじっと見つめた荒木は1球目から仕掛けた。高め139キロストレート。確実に転がした。「(球筋が)完全に頭にありました」。休養日だった2日前に代打出場。その際に対戦した加藤の球筋が、しっかりとインプットされていたのだ。
どっちに転んでもおかしくない試合展開だった。手に汗握る投手戦。今季初先発の雄太が7回、新井良に右前適時打を浴びて先制点を献上。ところが8回2死でルナの同点弾が飛び出し追いついた。9回には無死一、二塁から堂上直がバントミス。代打小笠原のゴロから果敢に本塁を狙った和田が走塁死するなど嫌な空気がムンムンと漂っていた。そんなムードを荒木が振り払った。
2、1、1、2…。相手投手の左右や相性によって打順が変わる。それでも「昔までは意識の違いはありません。1番だから、2番だからというのはない」。プロの世界で生き抜いてきた男は、求められた仕事を淡々と確実に全うする。サヨナラ打の回数を問われると「覚えてますよ。少ないから」。続けて「3本目でしょ?」。そう、正解です。10年8月14日広島戦以来、4年ぶり3度目の劇打。前夜の浜ちゃんにこの日は荒木。若手とベテランが融合すれば、大きな力になる。【桝井聡】



