<DeNA2-7中日>◇14日◇横浜

 お待たせしました-。中日大野雄大投手(25)が6試合目で待望の今季初勝利を挙げた。前回登板の4月26日ヤクルト戦(神宮)では制球が乱れ1回5失点でKO。首脳陣の怒りを買い試合中に強制送還を命じられ、2軍落ちした。汚名返上のマウンドで無四球の7回8安打2失点と変身した。屈辱にまみれた男がようやく“開幕”した。

 屈辱にまみれた背番号22が復活した。ベンチで勝利の瞬間を見守った大野は安堵(あんど)の表情を浮かべた。ナインに押し出されるようにハイタッチの列に加わると、ようやく笑顔になった。「ふがいない投球ばっかりだったんで、何とかしないといけないと思っていた。とにかく無心でした」。愛情を込めて同僚から頭をバシバシたたかれても、いつも明るい「いじられ役」は神妙だった。

 気迫満点の立ち上がりだった。1回の16球中、15球がストレート。最速149キロの直球を軸に3イニングをパーフェクトに抑えた。「コースにまったく行かなかったけど、腕を振ることだけを考えた」。直球を狙われ、4回に梶谷に右前打を浴びたが、がむしゃらに腕を振った。この日、へし折ったバットは3本。とにかく持ち味の直球を全力で投げ込んだ。

 試合後の大野はこみ上げてくるものを懸命に抑えた。話題が2年前に結婚した美優奈夫人に及んだときだ。「心配してたと思うんで、何とか頑張ってる姿を見せたかった」。強制送還を命じられた日。深夜にスーツ姿で帰った大野に、普段明るい表情で出迎える美優奈夫人は声をかけなかったという。「ボクに気を使ってたんだと思います」。自然と避けていた野球の話題。だが、この日の朝に受けとった「自信持って頑張って!」というメールに奮い立った。

 求めるレベルが高いだけに谷繁兼任監督は辛口だ。唯一、褒めたのは無四球という結果。「今日に関してはそこがよかった」。だがすぐさま「1勝3敗でしょ?

 あと2つは(負けを)抱えているわけだから」とすぐさま厳しい顔になった。

 もちろん、それは本人が一番理解している。今季は年明けから「ボクがやらないといけないと思っている」と開幕投手を狙うと公言してきたが、初勝利をつかんだのは6試合目。5月中旬になった。「もう何試合も投げているし、自分が情けない結果。これからバシバシ投げていきたい」。2軍生活を無駄にはしたくない。やり返すチャンスはいくらでもある。【桝井聡】