<巨人4-11ヤクルト>◇15日◇東京ドーム

 ヤクルト打線の勢いが止まらない。3試合連続の2ケタ安打で、巨人に11-4で完勝。巨人戦は17年ぶりとなるビジターでの同一カード3連勝を飾った。この3連戦は合計48安打27得点の猛攻で、チーム打率はリーグトップ。「失敗よりも積極性」の優先を徹底させ、先発の平均年齢26・4歳の若い野手陣が打撃を開花し始めた。

 巨人への3連勝に、興奮が冷めなかった。ヤクルト小川淳司監督(56)は「巨人の本拠地で勝つのは自信になるのは間違いない」と力強く言った。全員生え抜きの若き「純正ヤクルト軍団」が、巨大戦力に3連戦で計48安打を浴びせた。その下地には、徹底した指示があった。

 シーズン開幕前のミーティングで、真中打撃コーチは「失敗してもいいから積極的にいこう」と告げていた。現時点で、追い込まれてから打てる技術を全員が持っているわけではなく、淡泊な攻めにもなりかねない。それでも、カウント球に狙いを定めて確実性を上げ、結果を出して自信を得ることで技術向上を期待した。

 40試合目で成果が出た。5回には2番比屋根と3番川端が、ファーストストライクを強振したうえで計21球も粘り、巨人大竹のスタミナを奪った。そして1点差に迫られた6回無死一、二塁では、8番中村が「打てのサインだったのでゲッツーも安打も同じと割り切って思い切った」と初球を2点適時二塁打。小川監督が「みんなうまくなっている」と言えば、真中コーチも「バレンティンが4番に座り、周りはやるべきことを把握できている」と、積極性とつなぎの意識の浸透ぶりに手応えを口にした。

 活発な打線に、故障者続出の先発陣も踏ん張りを見せ始めた。小川監督は「この勝ちは非常に大きい」とかみしめるように言った。本塁打キング独走中の大砲が中心に構え、脇を成長著しい若手が固める。長短打に進塁打もありの、侮れないいやらしい打線になりつつある。【浜本卓也】

 ▼ヤクルトが今季初の同一カード3連戦3連勝。巨人戦の3連戦3連勝は昨年4月26~28日(神宮)以来だが、巨人主催試合では97年9月13~15日(東京ドーム)以来17年ぶり。この3連戦の安打数は16→15→17本。ヤクルトの3試合連続15安打以上は7度目の球団最長タイで、同一カード3連戦では10年8月6~8日横浜戦で22→17→16本を放って以来2度目。