<ヤクルト2-3楽天>◇25日◇神宮

 勝利投手の権利をつかみ、楽天トラビス・ブラックリー投手(31)は全身で喜んだ。3-1で迎えた5回。1点を返され、なお2死一、三塁で踏ん張った。ヤクルト雄平をカウント2-2から外に逃げるカットボールで空振り三振。左こぶしを力強く握りしめ、雄たけびを上げた。「緊張したけど、自分の投球をしようと思った」と来日初登板で初勝利を飾った。

 2カ月遅れの“開幕”だ。メジャー通算9勝左腕は、総額2億円(推定)の高い期待を受けて入団。田中がヤンキースに移籍し、手薄になった先発陣の有力候補だった。しかし、オープン戦になっても状態が上がらない。結局、開幕ローテ争いで2年目の森に敗れ、2軍スタートとなった。

 腐らなかったのが良かった。「自分はメジャーでも投げたんだ。やれる」と自らに言い聞かせた。試合になると、周りが声をかけづらいほど集中するタイプ。だが、グラウンドを離れれば陽気なオージーだ。ハシをすぐにマスターし、2軍施設で大きな音を出してラーメンをすすった。休みにはフィアンセと六本木や銀座を散策。オンとオフを切り替え、来るべき日を待った。

 交流戦に入り、巡ってきたチャンスで勝った。5回降板に「次はもう少し長いイニングを投げるのが課題。遅れてしまったけど、少しでも勝利に貢献し、連覇に向かう力になりたい」と宣言した。負ければ3年ぶりの2ケタ借金の瀬戸際で、新戦力がチームの連敗を2で止めた。【古川真弥】

 ◆トラビス・ブラックリー

 1982年11月4日生まれ。オーストラリア・メルボルン出身。00年マリナーズ入団。04年メジャー昇格。07年ジャイアンツ移籍。その後、数球団を経て11年は韓国KIAでプレー。12年、米球界復帰。アスレチックスで先発ローテに入り6勝を挙げた。メジャー通算は82試合で9勝9敗、防御率5・23。191センチ、86キロ。今季推定年俸は総額2億円。左投げ左打ち。