6連敗中の広島に、暗雲がたれ込めた。エース前田健太投手(26)が左脇腹の張りで、次回登板予定だった明日12日西武戦(西武ドーム)の先発を回避することが10日、決まった。前日9日の試合前の遠投中に発症。この日、広島市内の病院で診察を受け、深刻な症状は見られなかったものの、首脳陣は大事を取って登板を1度飛ばすことを決めた。

 曇り空のマツダスタジアムに、緊迫した空気が漂った。投手の指名練習にエースが来ない。グラウンドに姿を見せなかった本人に代わり、山内投手コーチは「左脇腹に張りがあって1回(登板を)飛ばすことにしました。本人は『いきます』と言ったけれども場所が場所だし、長引かせるわけにはいかない。やめておこうという判断になりました」と説明した。出場選手登録は抹消せず、今日11日からの関東遠征にも同行し、練習で状態をチェック。18、19日楽天戦(マツダスタジアム)に登板できるかを探っていく。

 前田は病院から戻り、球場内で治療を受けて駐車場に現れた。「大丈夫です。(6連敗中の)チーム状況もあるし、ぼくも間隔をあけるのは好きじゃない。いくつもりでしたが(首脳陣に)シーズンは長いと言われました」と明かした。12日は九里、13日は中崎、戸田、2軍から招集する久本らが先発の候補。チームは投壊現象で泥沼の連敗が始まった。さらに故障者にも苦しむ。その非常事態を自身の右腕で救えない無念さが、エースの表情に浮かんでいた。【堀まどか】