<日本ハム2-4ソフトバンク>◇12日◇札幌ドーム

 不惑の元3冠王が復活ののろしだ。ソフトバンク松中信彦内野手(40)が約2カ月ぶりの1軍復帰後、即タイムリーを放った。日本ハム戦の7回、1点を勝ち越してなお1死三塁に代打で登場。今季2安打目、昨年4月6日以来となる適時打を右前に運び、貴重な追加点をたたき出した。プロ18年目の活躍でチームは首位を守った。

 代打松中がコールされると、右翼席のタカ党から歓声が起きた。7回、勝ち越した直後の1死三塁。足場を固めて2カ月ぶりの打席に入る。谷元の初球。1本足打法から滑らかにバットが出た。145キロの高め直球に負けず、痛烈なライナーが右前で弾んだ。今季初の適時打。歓声がさらに大きくなった。

 「結果を求められていた。いきなり出て良かった。ファームで調整して結果を出してきたので、自信を持って打席に入れた。ファームでも1打席目、初球を大事にしてきた」。一塁に到達すると、パチンと両手をたたいて軽くガッツポーズ。気合十分の顔だった。

 松田、吉村の負傷離脱により巡ってきた昇格。プライドを捨ててまで待ち望んだ舞台だった。代打要員として開幕1軍も、12打数1安打と不振で5月19日に降格。最初の2軍戦で2三振を喫して覚悟を決めた。慣れ親しんだフォームに別れを告げた。「こりゃいかんと、1度バッティングを全部ばらした。1軍では直球を捉えきれていなかった。逆方向じゃなく、王会長のように全部右方向に打とうと」。師匠の打撃を頭に描き、理想と合致する今季2安打目だった。

 チームの現状で生きる道は代打と分かっている。開幕直後には「ミラールームが恋人ですよ」と話したこともある。2カ月のファーム期間中、相手が左腕の時は試合に出場せず筋トレに専念など、対右にしぼって調整してきた。また阪神掛布DCや、中日落合GMの話にも耳を傾けた。「掛布さんからは、年齢に応じたバッティングをしなきゃいけないと。落合さんには、ちょっと座れよと言われてから3時間。いろいろ勉強になった」。ただ、うまくなりたい。40歳になっても貪欲だ。

 今も平成でただ1人の3冠王に輝いたのは10年前。若手が台頭し、居場所は狭くなってきた。昨年は交流戦優勝セレモニーのボイコットで懲罰2軍も味わった。それでも、チーム最年長の生え抜きはまだまだ存在感を示し続ける。「結果を出さないとまた2軍という危機感がある。開幕後の十数打席は勝利に貢献できなかったので」。インパクト十分の再スタートに、言葉が弾んだ。【大池和幸】