<楽天3-1ロッテ>◇17日◇コボスタ宮城

 1年ぶりの白星が確定すると、楽天菊池保則投手(24)は握手攻めに遭った。ロッテ相手に、6回3安打無失点。四球もなく、わずか64球で締めた。「できすぎです。(無四球は)僕にとって珍しいので、一生忘れられないと思います」。ぼくとつとしたしゃべりで喜びを表した。

 前回14日ソフトバンク戦では、延長10回にサヨナラの押し出し四球を出した。コマが足りず巡ってきた今季初先発。「ラストチャンスと思った」。結果を出し、星野仙一監督(67)には「0だから予想以上」と驚かれた。試合前の練習を終えて引き揚げる際には「何回まで投げるんだ?」と聞かれた。突然の振りに「5回までは。後は行けるところまで行きます」と、緊張した顔で答えるしかなかった。ところが、どうだ。140キロ台の直球は重かった。主砲デスパイネも押し込み、フライを稼いだ。3点差がついた6回でお役御免となった。

 期待を裏切ってきた。12年秋季キャンプでは、星野監督が「アホ(A)、カス(K)、ボケ(B)」と、ノックの雨を与えた若手5人衆「AKB闘将ファイブ」の一員だった。最終日には、首脳陣らの投票で“初代センター”に選ばれたほど。将来を託された、はずだった。だが、昨季は1勝止まり。リーグ優勝は2軍でテレビ観戦し「途中で消しました。正直、複雑で」。やっと前に進めた。

 もっとも、星野監督は「まだまだ。もっと良いボールを投げとった。2年前は」と手厳しい。菊池は「厳しいことを言ってもらえるのはありがたい。見てくれているということなので」。ギャップを埋めるのは、これからだ。【古川真弥】